<高校総体:バスケットボール女子・札幌山の手83-72千葉英和>◇30日◇秋田市立体育館◇3回戦

 昨年高校3冠の札幌山の手(北海道)が、千葉英和(千葉)を下し、3年連続8強進出を決めた。前半は日本代表の長岡萌映子(3年)が厳しいマークに苦しんだが、佐藤れな主将(3年)が3ポイントシュートで全24得点を挙げるなど、エースの不調を全員でカバー。長岡も後半からシュートが決まり、終わってみれば計34得点。2試合連続の逆転勝ちで連覇へまた1歩近づいた。

 連覇に向け8強入りを決めても、札幌山の手の選手たちの口元はゆるまなかった。エース長岡の調子が上がらず、一時は逆転を許す厳しい展開。2試合連続の逆転勝利にも上島正光コーチ(67)は「ディフェンスとリバウンドが駄目。大変だわ」と厳しい内容に苦笑いした。

 試合開始早々、12-3でリードを広げたが、長岡のシュートがことごとくリングに嫌われ、5点リードで第1クオーター(Q)を終了。第2Qもエースの調子は上がらず、逆に6点リードされた。迎えた第3Q。佐藤主将が5連続3ポイントシュートを決め勢いに乗ると、長岡も徐々に調子を上げ3Qだけで12得点。佐藤主将は「主将だし、チームが苦しいときこそ頑張りたかった」と強い責任感を口にした。

 第4Qには4点リードの残り6分12秒で前日から熱中症気味の佐藤が、両足をつり負傷退場。その後は、前日に左足首を負傷し痛み止めの注射を打ち出場した田屋利紗、石川瑞季(ともに3年)、長岡の攻撃陣が踏ん張り点差を広げた。長岡は「0点でした」と反省する中、田屋は「周りが攻めれば(長岡を)生かせる」と不調のエースを必死でカバーした。

 27日夜、日本代表合宿中の長岡を除く3年生6人が上島コーチに呼ばれた。同コーチからプレー面以外の注意を受けながら「気持ち次第だ」とアドバイスを受けた。この日は、不調気味の長岡に代わり、その言葉を胸に秘めた最上級生を中心に選手たちが奮闘。長岡の調子が上がる後半まで、接戦に持ち込んだことも勝因だった。

 苦しみながらも勝ち抜く先に連覇が見える。初優勝した昨年と同様、今日31日の準々決勝の相手はこの10年間で7度の優勝を誇る桜花学園(愛知)。長岡は「気持ちを切り替えて内容の良い試合をするだけ」と選手たちの思いを代弁した。全員の力で勝利をつかむ。【石井克】