<高校総体:柔道>◇11日◇秋田県立武道館◇男子100キロ超級決勝

 柔道男子100キロ超級で崇徳(広島)・飯田健伍(3年)が初優勝を果たした。気持ちを前面に出す強気の柔道を貫き、5試合中3試合で一本勝ちして頂点に立った。同校にとって07年に同階級で優勝した10年世界選手権無差別級覇者・上川大樹(21=明大)に続く快挙となった。

 試合終了と同時に、飯田がほえた。両腕を突き上げて「おっしゃー」と叫んだ。「常に前に出ることを練習から意識してきた」と攻めの柔道を決勝の大舞台でも展開。開始早々の31秒に大内刈りで有効を奪うと、最後まで攻撃の手を緩めないスタミナと精神面の強さがあった。

 180センチ、110キロと最重量級では小柄だが、準々決勝まで3試合で一本勝ち。2回戦は小外刈り、3回戦は内またを決めた。準々決勝は横四方固めで突破と豊富な足技と得意の寝技で同世代のライバルたちを圧倒した。準決勝は終始優位に試合を進めて技ありで勝利と、すべての試合でジュニア強化指定選手(20歳以下)の実力を見せつけた。

 「今日は85点ですかね。まだまだ課題はいっぱいあるので」と試合後の自己採点は控えめだった。この旺盛な向上心で着実に成長してきた。東京・江戸川区出身だが、「自分を高めたい」と12歳で熊本・合志中に越境入学し、下宿生活をスタートさせた。中学3年時に九州チャンプになると、高校は「いい柔道をしていて自分に足りないところを補ってくれそうだった」と広島の崇徳を選んだ。昨年の世界選手権無差別級覇者・上川らを輩出した強豪校で、苦手だった寝技を最大の武器に鍛え上げた。昨年こそ右ひざのケガで初戦敗退だったが、最後のインターハイで集大成の柔道をみせた。

 試合後は、大会を訪れていた00年シドニー五輪100キロ級の金メダリストで日本男子代表コーチの井上康生氏から「おめでとう」と祝福された。「将来は五輪に出たい。井上さんのような選手になりたい」と世界へ視線を向けた。【豊本亘】