<高校総体:みちのく発>

 まさに鉄人だった。テニス女子シングルスを制した椙山女学園・吉冨は前日に単複3試合で合計10時間もプレーし、試合が終わったのは夜の9時半。この日の決勝は午前9時開始で、相手だけでなく体力との勝負でもあった。

 前日15日は午前9時試合開始のシングルス準々決勝が4時間、準決勝が3時間でともに勝ち、古崎帆乃香(3年)と組んだダブルス準決勝はフルセットタイブレークの末に敗れた。「3セットマッチ3戦は初めてでかなりきつかった」と言う。

 試合を終えた後はキムチ雑炊と煮魚を食べたが、激戦の疲れで気分が悪くなった。宿舎に戻った後は熱いお風呂と水風呂に交互に入り回復に努めた。起きるのが早く、寝るのが嫌だったが深夜0時半に就寝し、朝の6時半に起きた。

 いつもは会場の誰よりも大きな声で叫ぶが「疲れているので無駄な体力を使わないように」極力控えた。「足も重かった」と言うが、優勝に懸ける思いと「ラスト1試合頑張ろう」という執念で6-2、6-3のストレートで勝利をたぐり寄せた。焼き肉などガッツリ系が大好物。「おいしいものを食べてとりあえず寝たいです」と夜行バスで雨の青森を後にし、夢路へと急いだ。【松屋圭祐】