<高校総体:柔道>◇5日◇女子48キロ級

 高校最後の個人戦で有終の美を飾った。藤枝順心の岡本理帆(3年)が、48キロ級を1回戦からの6連勝で優勝した。5月の全日本体重別選手権で準優勝したことで生まれた「勝って当然」という周囲の視線に打ち勝った。昨年8強の悔しさを晴らし、3月の選抜に続く2冠達成。高校の頂点に立った岡本は、新たな挑戦のステージに進んでいく。

 決勝戦の相手、愛知・大成の近藤亜美(2年)は因縁の相手だった。東海総体決勝で内股を仕掛けた際に後ろから押し込まれ、そのまま技ありを取られて優勝を逃した。今回は開始1分で内股から技ありを奪い、そのまま優勢勝ちした。

 岡本は「自分がどんな投げをしたのか分からなかった。後で映像を見直します」と話していたが、それまでは繰り出せなかった得意技の左からの内股をここ一番で華麗に切り出した。

 5月の全日本体重別で世界女王の浅見八瑠奈(24)を破った。決勝でロンドン五輪代表の福見友子に敗れたが、6月には五輪代表が参加する強化合宿にも招集されるなど、高校レベルを超える期待が集まった。沼野由香利監督は「今まで経験したことがない重圧があったと思う」と推し量った。初戦は繰り出す技がことごとく空振り、相手に2回の指導がついての優勢勝ち。岡本は「思ったようにできなかったし、息も上がりやすかった」と戸惑った。

 それでも勝利で平常心を取り戻すのが強みだ。「去年の悔しさもあったし、とにかく勝ち上がることだけ考えた」と目の前の試合に集中。徐々にいつもの攻撃的な姿勢に変わっていく。強い気持ちが念願のタイトルにつながった。

 「常に挑戦者のつもりで」が岡本の信条だ。これから全日本ジュニア、アジアジュニア、さらには講道館杯といった試合が待ち構える。是が非でも取りたかった総体優勝を手にし、4年後の五輪にも期待は膨らむ。岡本は「まだ分からないですよ」と質問を一蹴。はじける笑顔は優勝の余韻を楽しんでいるようだった。【加納慎也】