青森に東京五輪の星がいる。昨年のインターハイ卓球男子団体で準優勝した青森山田の坪井勇磨(3年)だ。「卓球では、常に(青森)山田が一番というプライドがある。絶対に負けません」と、団体とシングルスでの全国制覇を誓った。ドイツ仕込みのサーブが持ち味。攻めの卓球で、昨年のリベンジを果たす。

 将来の日本卓球界のエースが2冠を宣言した。坪井は「(青森)山田が一番というプライドがある。先輩が築いた歴史に泥を塗るわけにはいかない。全国制覇しかありません」と、静かに闘志を燃やした。

 同校は、インターハイ団体で一昨年まで8連覇していた常勝校。県予選も18連覇中で、卒業生には福原愛(25=ANA)や森薗政崇(明大1年)らがいる。昨年は決勝で希望ケ丘(福岡)に2―3で敗れ、“卓球の青森山田”が屈辱を味わった。「あの時の負けがあるから今がある」。敗戦後、坪井は森薗(当時3年)とともにドイツで1カ月合宿し、サーブの種類を増やすなど技術を磨いた。さらに、例年以上に腕と足の筋力トレーニングに励み、体脂肪は5・7%と超一流アスリートの肉体へと進化した。

 団体で優勝を目指すには「個」の力の底上げが必要と考える。インターハイのシングルス決勝では同校同士の試合がしばしばあり、坪井は「部員は一番の仲間であり、一番の敵です」と苦笑いした。メンタル面を強化するためにも、森薗にアドバイスを求め、試合の心得などを学んでいる。シングルスは今年1月の全日本選手権で唯一高校生でベスト8に残り、3月の東京選手権では準優勝と調子を上げている。

 坪井は同校の選手層が厚いため、インターハイのシングルス出場は今年が初めて。「最後なので思いっきりやるだけです。言い訳はしません。結果が全てです」と勝ちにこだわる姿勢を見せた。持ち味は約20種ある変幻自在のサーブ。ドイツ仕込みのサーブで「決めます」と気合を入れた。

 インターハイの先には、6年後の東京五輪がある。「目指すところはそこ。それまでには必ず先輩たちを超えてみせます」。淡々と答える坪井の言葉は、自信に満ちていた。

 ◆坪井勇磨(つぼい・ゆうま)1997年(平9)2月24日、埼玉県川越市生まれ。川越東卓球部顧問の父親の影響を受け、小2で競技を始める。小3~6までTTC平屋に所属し、全国大会に出場。青森山田中に進学後は全国中学大会シングルスで優勝、同高ではインターハイ団体で準優勝。左シェーク。趣味はサッカー。好きな芸能人は石原さとみ。家族は両親と兄と姉。168センチ、57キロ。血液型A。