<全国高校総体:陸上>◇1日◇山梨中銀スタジアム

 男子砲丸投げで、石山歩(京都・花園3年)が同種目史上2人目の3連覇を達成した。決勝の第1投で17メートル40の大会記録を出しての圧勝。石山はやり投げ、円盤投げでの史上初の3冠を狙っており、好調なスタートを切った。

 石山が6キロの砲丸を右手で軽々と上下させ、リズムを取って投じた決勝の第1投。砲丸は大きく右に飛び出した。失投かと思われたがグングンと伸び17メートル40。従来の記録を16センチ上回る大会記録に会場がどよめく。ただ1人17メートル台という圧勝の3連覇は、第1投で早々と決まった。

 「気持ちを抑えていたのですが、(選手紹介などの)アナウンスを聞いて、抑えきれなくなっちゃった。右に出たけど、それなりの感触はありました」

 砲丸投げ3連覇だけでなく、今大会では、昨年逃したやり投げ、円盤投げとの史上初の3冠を狙っている。この日から3日連続での出場となる。1投目で他を圧倒すれば、2投目以降パスし体力を温存できる。ただ石山は6回すべて投げた。「2投目からは修正でした」と常に前向きな姿勢で戦った。最後の6投目。17メートル38に終わり、天を仰いだ。「(記録を)狙ったの?」の問いにニッコリと笑った。

 小学校の時はサッカー少年。中学に進むとサッカー部がなく「走ることが好きだった」と陸上部に入った。そこで出会った顧問の先生に、体を生かして砲丸投げを勧められたのがきっかけ。「投げると勝てるし、面白くなった」。

 花園高に進学し、陸上競技部顧問の石井田茂夫氏と出会い、やり投げ、円盤投げも開花した。野球、ゴルフ、相撲、器械体操などを取り入れた斬新な練習で、石山はぐんぐん記録を伸ばした。石井田氏は「一番の成長は世界に向けて、今、何をしなければならないかを分かって来たことです」と評価した。

 目標はもちろん2020年の東京五輪。石山は進学して「遠くに飛ばせる」という快感と、世界に通じる可能性の高いやり投げ1本で勝負したいと言う。「オリンピックもあります。世界で戦える選手になりたいです」。自分に言い聞かせるように力強く語った。【笹森文彦】

 ◆石山歩(いしやま・あゆむ)1996年(平8)6月2日、兵庫県生まれ。福崎東中から砲丸投げを始め、3年で全国制覇。今年の近畿予選での17メートル80が自己ベスト。昨年は円盤投げ国体優勝、やり投げで世界ユース選手権出場。179センチ、91キロ。血液型A。

 ◆3連覇と3冠

 砲丸投げの3連覇は第8回大会(55年)から10回大会で達成した小田切忠正氏(東京・早大学院)以来となる。投てきの3冠は砲丸投げ、円盤投げ、ハンマー投げの組み合わせで、16回大会で室伏重信氏(静岡・日大三島)、27回大会で杉田和巳氏(埼玉・行田)が達成した。砲丸投げ、円盤投げ、やり投げの組み合わせの3冠はいない。