<全国高校総体:男子卓球>◇男子シングルス決勝◇9日◇山梨・小瀬スポーツ公園体育館

 坪井勇磨(青森山田3年)が渡辺裕介(高知・明徳義塾3年)を4-1で下し、ダブルス、団体に続く3冠を達成した。インターハイ3冠は09年松平健太(青森山田)以来。

 渡辺のボールがアウトになった瞬間、坪井は両手を何度も突き上げて喜びを爆発させた。すると力が抜けたのか、少しふらついた。「やっと終わったという感じ。ほっとした」。大会前には「言い訳はしない。結果がすべて。全国制覇しかありません」と優勝を宣言。有言実行で3つ目の栄冠を手にした。

 「相手はチキータがうまいとわかっていたので」と坪井。約20種類あると話す自慢のサーブで、渡辺の武器を封印した。逆に自らのチキータで活路を開いた。「大会を通して精度が良かった。何でもできるようにしてあるので」とスピードと回転に緩急をつけ、得点を重ねた。対戦した渡辺も「対応できなかった」と舌を巻く切れ味だった。

 昨年の団体決勝で希望が丘(福岡)に敗れ、団体連覇が8で途切れていた。「自分の弱さを痛感した。経験不足で練習でできることが試合でできなかった」と昨年を振り返る。本番での弱さを克服するため厳しい環境に身を置いた。ドイツ、中国など強豪国に遠征し1日10試合近く対戦。自信をつけた。変幻自在のチキータも昨年の敗退から磨いてきたもの。「落ち着いて攻められるようになった。あの時の負けがあるから今がある」とリベンジを果たしてみせた。

 松平健太ら偉大な先輩たちに並ぶ3冠にも「世界で勝てる選手になるために、もっと体を強くして打ち負けないようにしたい」。6年後には東京五輪がある。インターハイ前には「目指すところはそこ。それまでには必ず先輩たちを超えて見せます」と話していた。20年への挑戦が始まった。【岡崎悠利】

 ◆坪井勇磨(つぼい・ゆうま)1997年(平9)2月24日生まれ、埼玉県川越市出身。小学2年で競技を始め、TTC平屋に所属。青森山田中3年の時、シングルスで全国優勝。左シェークハンド。好きな芸能人は石原さとみ。168センチ、58キロ。家族は両親と兄、姉。