<全日本実業団対抗女子駅伝>◇13日◇岐阜長良川競技場発着(6区間=42・195キロ)

 ワコールの福士加代子(27)が区間新の快走で復活した。エース区間の3区(10キロ)で12人をごぼう抜きし、従来の記録を8秒縮める31分2秒をマーク。08年1月の大阪国際女子マラソンで19位と惨敗してからスランプに苦しんでいたが、トンネルを抜けた。チームは後半に失速して5位となり、三井住友海上が2時間15分27秒で2年ぶり、史上最多7度目の優勝を決めた。

 福士は笑っていた。13位でタスキを受けると、次元の違う走りで各チームのエースをごぼう抜きした。「先頭の(先導)車目掛けていった」。6・4キロをすぎたところで先頭集団を抜き去り、ぶっちぎりで4区につないだ。31分2秒の区間新。「すごい、これ、すごいね!

 不況、不況っていうから、ストレスをぜんぶ発散したかった。そう思ったら軽快にいけた」。鮮やかな復活劇だった。

 世間だけでなく、自らもストレスに悩んでいた。初マラソンとなった08年1月の大阪国際女子マラソンで、準備不足と前半飛ばす作戦が裏目に出て19位と惨敗。そこから長いスランプに陥った。昨年6月の日本選手権(川崎)では得意の5000メートル、1万メートルでいずれも連覇を逃した。永山忠幸監督(50)は「気持ちの問題。守りに入ってしまった」と振り返る。一念発起し、11月の福井スーパーレディス駅伝には「突っ込んで死ぬつもりで」臨んだ。区間賞の好走で吹っ切れ、本来の攻めの姿勢を取り戻していた。

 軽快な福士節も戻ってきた。「今年はよくなかったけど、これでチャラ」。チームは後半失速して5位に終わったが「競馬で言えば大穴。面白いんちゃいますか、ワコールさん」と笑わせた。今後も駅伝、トラックを中心に走る予定。弾丸娘が帰ってきた。【村野

 森】