<柔道:グランドスラム東京2012>◇2日目◇1日◇東京・代々木第1体育館◇男子73キロ級

 楽しみな逸材が、輝きを放った。初戦から5試合すべて一本勝ちを収めた大野将平(20=天理大)は「目指している、一本を取る柔道ができたので、本当にうれしい」と素直に喜んだ。

 得意の内股、大外刈りを駆使して勝ち上がった決勝の相手は、ロンドン五輪銀メダリストの中矢力(23=ALSOK)。5月の全日本選抜体重別決勝では敗れたが、今大会は立ち技で圧倒。1分20秒には小外刈りで技あり。そして1分48秒に、大外刈りで一本を奪った。「借りを返す気持ちでいきました」と負けん気の強さを見せた。

 若い力の台頭。男子の井上康生監督からは「一本の前の組み手や、動き、技のバリエーションに成長が見える。今後が楽しみ」と高く評価された。だが、当の本人に思った以上の喜びはなかった。「一番大事なのは、研究をされてから。ぽっと出て勝つことは誰でもできると思う。これからが勝負」。16年リオデジャネイロ五輪の期待の星は、勝ってなお、気を引き締めていた。