<柔道:世界選手権>◇第5日◇8月30日◇ブラジル・リオデジャネイロ◇男女3階級

 関節技対策、急務!

 男子90キロ級でロンドン五輪銅メダリストの西山将士(28=新日鉄住金)が2回戦でイスラム・ボズバエフ(カザフスタン)に関節技で一本負けした。足取りが禁止のルールで、外国勢は関節技に傾倒。日本との技術差は顕著で、井上康生監督(35)は「もっと他競技からも学ぶ必要がある」と述べた。女子78キロ級の佐藤瑠香(21)は敗者復活戦で敗れ、緒方亜香里(22)も1回戦で敗退。女子70キロ級の田知本遥(23)は初戦の2回戦で姿を消した。

 確実に狙われていた。2回戦、西山を背負ったボズバエフは、こらえるために畳についたその右腕に絡み付いた。腕ひしぎ十字固めに「参った」。顔をゆがめながら、わずか23秒で勝負は決まった。「油断があった。積極性が足りなかった」と本人はうなだれたが、この試合にとどまらない日本と外国勢との差が見られた場面だった。

 大会前から警戒を促していた井上監督は「やはり」の表情。足取り禁止のルール施行以後、「手も細く長く、足も長い」外国人が寝技も含めて研究しているのは明らかだ。今大会も男女通じて、関節技での決着が多い。昨年11月の就任からサンボなど他競技の技術吸収に積極的だった同監督だが「まだまだ絶対量が足りない。もっと細かく詰めていく。柔術なども学びたい」と方針を示した。

 重量級の非力さが嘆かれるが、中量2階級も苦戦が続く。力とスピードを併せ持った選手育成が必要になるが、道は厳しい。81キロ級で初戦敗退の長島にも言及しながら、同監督は「日本のトップを選んで、1、2回戦で負けるレベル。考えないと」と急いた。

 軽量3階級を制覇した最高のスタートも、重量級に向かうにつれて課題が明確に。3年後に同じリオで行われる五輪へ、すべきことは多い。【阿部健吾】