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ハミルトン史上初の新人王者王手/F1

<F1:日本GP>◇30日◇決勝◇富士スピードウェイ(1周4・563キロ)

 マクラーレンのルイス・ハミルトン(22)が、総合優勝に王手をかけた。大雨と濃霧のため、序盤19周は追い抜き禁止走行でスタート。通常に戻ってからはコースアウトや接触で、ライバルたちが続々と脱落する中、持ち前の冷静さを失わず、2時間0分34秒579で逃げ切った。これで今季4勝目。ポイント争い2位のアロンソがリタイアしたため、点差は12点に広がった。ハミルトンは中国GPに勝てば、事実上、史上初の新人総合王者に就く。

 豪快に水しぶきを上げ、銀色の車番2が最後の直線に戻ってきた。カメラのフラッシュに、ホーンの音…。すべてが、新ヒーローの快走を祝福した。派手なガッツポーズはいらない。気温17度、冷たい雨に打たれた14万観衆の心を、ハミルトンは走りで熱くさせた。

 気まぐれな「富士ウエザー」が、ハミルトンに課された試練だった。前日からの雨、雲の中のような深い霧で、視界はほぼゼロ。31年前、富士で初開催された時と同じような天候だった。レースはセーフティーカーに先導されて始まった。

 開始19周は追い抜きを禁じられ、ハミルトンはポールポジションの利点を生かせない。34周目には、クビカに接触されてスピンした。だが意外にも、勝利のカギはこの事故だったという。「いきなり当たられて驚いたけど、あれで冷静になれた」。逆境に動じるどころか、力に変えてみせた。

 レース対策は万全だった。チームが6000万ポンド(約141億2000万円)をかけて開発したレース用模擬マシンで、コースを分析。大雨や多重事故など、最悪の事態も織り込み済みだった。スポーツ心理学者からは、その心理状況をカウンセリングされていた。今季4勝のうち、3勝は未経験のコース。チームのスパイ騒動による処分、アロンソとの確執を封印する精神力は、訓練のたまものだった。

 リタイアしたアロンソとの得点差を12に広げた。中国GPに勝てば、ライバルの成績に関係なく優勝が決まる。新人年の総合Vは、F1が創設された50年のファリーナだけ。実質的な「史上初」の新人王者誕生は、もうすぐだ。「総合優勝に向け、本当に大きな勝利だった。でも考えすぎはよくない。次はすぐ中国だから」。沸き立つ報道陣を制する22歳には、もう王者の風格が芽生えていた。【森本隆】

[2007年10月1日8時42分 紙面から]

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