真矢挑戦の09年…スーパーバイクへ決意語る

- インタビューに答える中野真矢
プロライダー中野真矢(30)がスーパーバイク世界選手権(WSB)に闘いの場を移す。世界最高峰のカテゴリー、MotoGP(GP500時代を含む)に8年、下位カテゴリーを含めると10年参戦した経験と実力を買われ、09年にWSBに復帰するイタリアの名門アプリリアから声が掛かった。欧州でMotoGPと並ぶ人気レースは、市販車をカスタムした2輪車で競うスピードレースで、世界的不況でモータースポーツ界にも逆風が吹き荒れる中、逆に参戦メーカーが増えるなど人気を集めている。昨秋に「来季どうするか悩んでいた」という中でのWSB参戦決断。帰国中の中野が今年にかける思いとWSBについて語った。
転機は突然訪れた。昨季MotoGP14戦表彰台なし、総合順位9位。日本人ただ1人のフル参戦で胸を張れる成績だが、中野自身は納得していなかった。「どうすれば、もっと速く走れるか」。悶々としながら最終ステージのバレンシアの空を見上げた。MotoGP初年度の02年から1レースも欠場がなかったライダーは中野と王者ロッシの2人だけ。派手さはないが、トップレベルで勝負してきた自負がある。
そんな折、イタリアの名門アプリリア・レーシングから、09年のWSBライダーのオファーが届いた。「(WSBは)まったく予想していなかった」。驚きとためらいが胸を襲った。
中野にとって、アプリリアの印象といえば「2ストローク(エンジン)のスペシャリスト」。しかし、4ストローク全盛の現代、メーカーとして時代の流れに応じて新エンジンを開発し、市場でのPRに力を注ぐべく8年ぶりのWSB参戦を決めた。そんな大事なタイミングで自分へ声を掛けてくれたことへの感謝と、新しい同僚の存在が中野の心を動かした。チームメートになるのは「イタリアの英雄」マックス・ビアッジ(36)。中野にとってMotoGP時代で競った相手だが、一方でその豪快なライディングテクニックに一目置くベテランだ。開発も含めてバイクに情熱を捧げる姿を目にし、「尊敬できる先輩」ができると感じた。
昨年12月には南アフリカで初めての他メーカーとの合同テストを行った。「初日、2日目とまずまずのペースで走れ、手応えはある」。ただ細かい部分でMotoGPとの違いを痛感した。例えば制動。ブレーキは今までのカーボンから鉄に変わった。車体は重くなり、そして制動力が低くなったために、より高いブレーキング技術が必要になった。また、レースは1日2戦が基本なので、体力も求められる。「このあたりはトレーニングを重ねて対応できる」と自信を見せる。
一方で「最大の不安」と自ら警戒するのが「知らないサーキットが多いこと」。MotoGPと違い、主に欧州を主戦場にするWSBは、世界で戦ってきた中野にも未知のコースが多い。アジアはカタール(3月)だけになるので、当然、日本のファンに地元で勇姿を見せることができない。「もてぎを走れないのは痛い」と寂しげだが、自分自身の活躍で競技への注目度が増すことも心得ている。「そうですね。1回は優勝したいですね」。1年契約という「崖っぷち」の立ち位置を認識した上で、中野は09年を「挑戦の年」と表現した。甘いマスクの内側に静かな闘志を秘め、「56」伝説・第2章が今、幕を開けようとしている。
【09年スーパーバイク選手権】
3月1日 オーストラリアGP フィリップアイランド
3月14日 カタールGP ロサイリ
4月5日 スペインGP バレンシア
4月26日 オランダGP アッセン
5月10日 イタリアGP モンツァ
5月17日 南アフリカGP キャラミ
5月31日 アメリカGP ソルトレイクシティ
6月21日 サンマリノGP ミサノ(イタリア)
6月28日 ヨーロッパGP ドニトンパーク(イギリス)
7月26日 チェコGP ブルノ
9月6日 ドイツGP ニュルブルクリンク
9月27日 イタリアGP イモラ
10月4日 フランスGP マニクール
10月25日 ポルトガルGP ポルティマオ
◆中野真矢(なかの・しんや) 77年10月10日、東京生まれ。5歳でポケットバイクに乗り、17歳でSP忠男レーシングチーム入り。同年、鈴鹿4時間耐久レース優勝。97年ヤマハに入り、翌年、全日本選手権250cc優勝。99年世界選手権参戦を皮切りに、01年500cc、02年から最高峰のMotoGPクラスで活躍。04年、ヤマハからカワサキへ移籍、地元日本GPで3位、カワサキ勢として23年ぶりに表彰台に立つ。06年はオランダGPで2位に輝いた。07年、08年はホンダで活躍した。09年シーズンは、アプリリア・レーシングからスーパーバイク選手権に参戦する。
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