F1で、21歳のセバスチャン・ベッテル(ドイツ)が今季第14戦のイタリアGP(14日決勝)で史上最年少優勝を飾り、今後の期待が一気に高まった。

 所属チームのトロロッソにとっても初勝利。年間優勝7度のミハエル・シューマッハーと同じドイツ人ということもあり、後継者へとの呼び声も高い。

 イタリアGPは公式予選、決勝とも雨に見舞われた。路面とタイヤの間に水が入って車体が滑り、ブレーキ操作も困難を極めた。だがフェテルのマシン制御は抜群で、直線の速さが際立ち、コーナーでも安定していた。

 公式予選では、史上最年少でポールポジションを獲得。決勝でも他車を寄せつけずにゴールした。「信じられない。この感動は一生忘れない」と笑顔が輝いた。

 昨年の米国GPでF1デビュー。愛くるしい顔と、か細い体にチーム関係者は「聖歌隊の少年かと思った」という。その初戦で8位に入り、最年少入賞記録を樹立した。

 F1の強豪チームは、自動車メーカーが500億円を超える年間予算と、1000人もの人員を投じている。これに対してトロロッソのスタッフは160人程度。小さなチームの快挙だ。

 ベッテルは来季、ルノーへのステップアップ的な移籍が決まっており、一層の飛躍が待たれる。