12年F1シリーズが今日16日からのオーストラリアGPで開幕する。シーズン前の合同テストで、レッドブル、マクラーレンの上位チームと、中堅チームとの差がぐっと縮まった感のある今季。ザウバーで3年目を迎える小林可夢偉(25)がどういうレースを見せるか。「今年が勝負の年だと思っている」という心意気に期待したい。

 今季の開幕前テストで、ザウバーはたびたび好記録をマークしてきた。どちらかと言えば地道なマシン熟成作業に徹してきたにもかかわらず、バルセロナのカタルーニャ・サーキットで行われた2回目の合同テストでは小林が全ドライバー中、最速のタイムを計測。その次の最終テストでは、予選での一発アタックではなく、決勝でのロングランを想定したセッティングにもかかわらず、最終日に5位のタイムをマークした。

 小林自身は今季の見通しについて「去年と同じくらいの、ポイント争いギリギリのポジションかな」と謙遜するが、テストの成果には手応えを感じている。そして「本当に今年が勝負の年だと思っている」と力を込める。そこにはザウバー3年目の今季、確かな成績を残し、上位チーム移籍への道を開きたいという思いが透けて見える。

 空力部品の規制で上位陣と中堅チームの差が縮まり、上位チームのわずかなミスによって一発逆転が頻繁に見られそうな今季。小林は「今年が一番厳しい。でも逆に今年がチャンスでもある。僕自身はこれまでで一番自信を持って臨めている」。過去2年の経験を糧に、上位に割って入る。(米家峰起通信員)