【ファルン(スウェーデン)24日=松末守司】世界最多13度目の代表入りの葛西紀明(42=土屋ホーム)が、「レジェンド」よりも金メダルを欲する。22日のジャンプ混合団体で銅メダルを獲得し、同大会、五輪で日本最多の10個目のメダルを獲得し、史上最年長メダリストになった。今回もメダルを取れば最年長の肩書がつくが「他の人が喜んでくれるのはうれしいが、何個メダルがあっても一番輝くメダルがほしい。記録は気にしない。こだわりは金メダルだけ」とぶれない目標を掲げる。

 21日の個人ノーマルヒルではまさかの35位に終わった。リズムを失い、混合団体もメダルを取ったとはいえ、日本チームをけん引するジャンプはできなかった。それを払拭(ふっしょく)するべく、当初、飛ばないとしていた、26日の個人ラージヒルに向けた24日の公式練習に参加し、本番舞台で初飛びを行った。

 3回飛び1回目に128・5メートルを記録するなどK点越えを連発し「ノーマルヒル・ショック」をあっさり振り払った。練習前は「不安」と話していたものの、「練習で3回飛ぶのは久しぶり。やっぱりラージの方が浮力を感じるしいい。もともと調子自体は悪くなかったけど、これでもう大丈夫。あとはタイミングを合わせられればトップと互角の戦いができる」とようやく笑顔が戻ってきた。

 22日の夜はチームメートとささやかな祝勝会でリラックスした。「ようやく自分の風が吹いてきた」。金メダルを取って真の伝説を作る。