世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、今季自身最短試合タイの59分で快勝した。同61位の盧彦勲(台湾)に6-1、6-3のストレート勝ちで、1時間もかからずにベスト8進出を決めた。

 ようやく錦織のプレーが戻ってきた。1月のブリスベン国際準々決勝に並ぶ、今季最短59分での決着。「自分のプレーができた。サーブもストロークも安定してきた」。2大会連続の優勝へ、大きな手応えをつかむ勝利となった。

 第1セットから一気に攻め立てた。1ゲームオールから5ゲームを連取し、わずか25分で締めくくった。中でも課題だった第1サーブが第1セットは83%の高率で入り、盧につけいるスキを与えなかった。「久しぶりにサーブも良かった」。第2セットになっても、流れは変わらず押し切った。

 今季2度目の1時間切りだ。サーブが強烈に速いわけではない。ラリーをしながらリズムを作り上げるテニスは、得てして試合時間は長くなる。この日でツアー大会の試合数は予選も合わせて352試合目。そのうち、1時間未満で勝った試合は11試合しかない。

 今大会、どうしても優勝して、ランキングポイントの500点を稼ぎたい理由がある。昨季はこの大会に出場していないため、消滅する点がなく、500点の大半がそのまま加算されるからだ。決勝まで、この日のような短時間で勝負を決めて、消耗を避けたいところ。錦織も「体力的にはとても意味がある」と話す。

 準々決勝はジュニア時代からのライバルで、錦織と同様に天才肌のドルゴポロフが相手だ。1月のブリスベンでは、ダブルスを組んで決勝に進んだ。「しっかり睡眠を取って準備したい」。1回戦でツアー通算200勝を達成。201勝目の新たなスタートは、最高の滑り出しとなった。

 ◆錦織の試合時間 2回戦を含めて、錦織はツアー本戦、予選を合わせて、これまで352試合を戦った。そのうち、最短試合は08年ストックホルムオープン準決勝で記録した44分。この時は敗れている。勝利では、07年カントリーワイド・クラシック予選決勝で記録した50分だ。世界では、01年上海マスターズ1回戦で記録された25分というのがある。錦織の最長試合は、10年全米2回戦のチリッチ戦の4時間59分。世界では、10年ウィンブルドン1回戦で3日がかりの11時間5分がある。