ジャンプ男子個人ラージヒル(HS134メートル、K点120メートル)で葛西紀明(42=土屋ホーム)が、2回合計227・3点で11位にとどまり、6大会ぶりの個人メダルを逃した。1回目129・5メートルの7位から、2回目119・5メートルで順位を落とした。21日のノーマルヒル(NH)35位に続き、個人金メダルを手にすることはできなかった。

 届きそうで届かない-。6大会ぶりの個人メダルを狙った葛西は、勝ったフロイント、2位シュリーレンツァウアーらが繰り広げた130メートルの大ジャンプの争いに最後まで加わることはできなかった。11位と悲願の個人金メダルにまたしても届かず「風が当たらなかった。2回目は悪い癖が出た」。大歓声が沸き起こる表彰式を背に、寂しそうに会場を後にした。

 チャンスはあった。1回目にK点を大きく越える129・5メートルで7位。3位につけたシュリーレンツァウアーには飛距離にして約2・5メートル差と順位ほど離されてはいなかった。悪夢は逆転を狙った2回目。助走でやや重心が前に行きスムーズな飛び出しができない。弱い不利な風にも当たり、伸びきれず119・5メートルに落下した。

 42歳265日でのメダルなら、48年サンモリッツ大会で銀メダルのビルゲル・ルート(ノルウェー)の36歳168日を抜き、史上最年長メダルだったが、手元からすり抜けた。残りはソチ五輪で銅メダルを獲得した28日の団体戦のみ。めまぐるしく変わるファルンの風で運、不運がつきまとうが「厳しい戦いにはなるが、同じ条件なら互角に戦える」とプライドをにじませた。【松末守司】