世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、2大会連続優勝と3位躍進を逃した。対戦で5連勝中だった同9位のフェレール(スペイン)に3-6、5-7の1時間49分で敗れ準優勝。8度とクルム伊達公子と並んでいたツアー優勝回数の単独日本人最多はお預けとなった。しかし、今日2日発表予定の最新世界ランクで、4位に躍進することが確定した。

 打っても、振り回しても決まらない。球足の遅いコートに重いボール。そして復活した相手の鉄壁の守備に、錦織が根負けした。「決めきれないポイントが積み重なって、焦りがプレッシャーに変わった。それでミスが増えてしまった」。久しぶりに、相手の術中にはまった。

 フェレールには、過去7勝3敗。特に昨年から5連勝中だった。1月の全豪4回戦では会心のプレーでストレート勝ち。しかし、この1年の相手とは全く違った。フェレールは、粘りと折れない精神力で13年に3位になった。当時をほうふつさせる守備が戻り、錦織が先にミスを犯した。

 加えて、完全に研究されていた。錦織最大の武器であるリターン封じだ。サーブを錦織の体近くに打ち、腕を縮こまらせ、スイングさせない。錦織は返球できても、リターンから主導権を握れず。今大会、相手の第2サーブに対し、50%以上の確率で得点に結びつけていたが、この日は50%を割った。

 しかし、研究されるのもトップ選手の勲章だ。錦織のプレーが、それほど悪かったわけではない。大会前にはインフルエンザにかかり熱が出た。思うような練習も積めなかったが「決勝に進めたのでいい1週間だった」。今年は、まだ始まったばかりだ。

 6日からは、日本代表として、国別対抗戦デ杯でカナダと対戦する。ライバルのラオニッチとの決戦だ。12日からは、今季初の4大大会に次ぐマスターズ(1000)大会が、米カリフォルニアで行われる。「そこで大きな結果を出せるよう頑張りたい」。日本人最多の9勝目に、世界3位も、この先、いつでも射程圏内にある。