19年に日本で開催されるラグビーW杯の開催地が、岩手県釜石市など12会場に決定した。2日、アイルランド・ダブリンで行われた「W杯リミテッド(RWCL)」の理事会で承認され、日本時間午後9時半からの会見で発表された。アジアで初めて開催される楕円(だえん)球の祭典に向け、今後準備が本格化する。

 開催地として2番目に釜石市が発表されると、東京・明治記念館に駆け付けた日本大会組織委員会の関係者から「おおっ」と声が上がった。東日本大震災で被災した釜石東中、鵜住居(うのすまい)小の跡地周辺に建設予定のスタジアムは、いまだ計画段階。それでも、1月のRWCLによる候補地視察の評価は高かったという。日本大会組織委員会の森喜朗副会長(77)は「釜石が一番評価が高かった。RWCLは、ぜひやりたいという釜石の誠意に感動したと言っていた」と明かし「釜石でW杯をやることは最高の復興の力になる」と言葉に力を込めた。

 開催地選定で最大の焦点だった会場数は、組織委が目標としていた事実上の「勝敗ライン」である12を確保した。組織委は全国規模で大会を盛り上げるため、13以上の会場で開催する案を検討するなど開催地を増やそうとしていた。一方、RWCLは予算軽減や経営上のリスク回避のため、会場数を10程度に抑えたい考えだった。結果、理解を得られ、大幅な絞り込みを回避することができた。

 決定に御手洗冨士夫会長(79)は「各都市と綿密に連携し、素晴らしい大会になるよう盛り上げたい」と話した。会場数で「12は譲らない」と話していた森副会長は「なんとか成功に導きたいとやってきた。正直に感無量」と喜んだ。

 本大会は9月から10月にかけて開催される予定。開幕戦と決勝は、19年に完成予定の東京・新国立競技場で行われる。