五輪への準備は整った。ラグビー男子7人制日本代表候補で、フィジー出身のロテ・トゥキリ(27=北海道バーバリアンズ)が16日、日本国籍を取得した。法務省の官報で告示された。正式種目となる16年リオデジャネイロ五輪に日本代表として出場するために選んだ道。まずは代表入りを決め、アジア予選(11月)などで五輪出場権獲得を目指す。

 トゥキリが、晴れて日本人となった。日本名は「トゥキリ・ロテ・ダウラアコ」。ミドルネームは末尾に残した。「気分はグッド。気持ち良いね。これでオールシーズン、日本代表のゲームに出られるよ」。札幌法務局で交付された「帰化者の身分証明書」を手にしてうれしそうだった。

 桜のジャージーを着て、予選含め五輪のピッチに立つには、自国民であることが必須条件だ。昨年まで、7人制の日本代表入りを果たし、世界の強豪が集うワールドシリーズに主力として毎試合出場。だが、今季から国際統括団体ワールドラグビーが五輪同様に出場資格を変更。日本国籍がなかったトゥキリは、昨年10月の第1戦(オーストラリア)から出場できず「みんなと練習をしていても、海外遠征の時には『バイバ~イ』ってするのが寂しくてテンションダウンだった」。

 昨年10月、納税年数などの申請条件を満たすとすぐに日本国籍取得の手続きを行った。27日開幕のワールドシリーズ第6戦「香港セブンズ」、第7戦「東京セブンズ」(4月4、5日)の代表候補に、国籍取得を見込まれ昨年5月の第8戦以来、7戦ぶりに選ばれていた。この日、早速パスポート申請も行った。代表メンバー入りできれば発行され次第、合流する。

 所属する北海道バーバリアンズの田尻稲雄代表(66)は「チームから五輪選手が出れば素晴らしいこと。リオだけじゃなくて20年の東京五輪にも出てもらいたい」と期待を寄せる。今季のワールドシリーズは上位4チームに16年リオデジャネイロ五輪の出場権が与えられ、現在15位の日本はアジア予選(11月予定)にも照準を合わせている。「五輪に出たい。出たら100%勝ちます。これから頑張ります」と意気込みを口にした。【保坂果那】

 ◆ロテ・トゥキリ 1987年11月12日、フィジー出身。5歳からラグビーを始める。マリストブラザーズ高から白鴎大に留学。11年3月、7人制の日本代表に初選出された。同年8月から札幌市内に移住し、北海道バーバリアンズに加入。13年の7人制W杯出場。188センチ、98キロ。

 ◆日本国籍取得の条件 引き続き5年以上日本に住んでいることが基本条件。年齢は20歳以上で、出身国の法律で成人している者。さらに素行が善良であることや、生活に困ることがなく安定した生活を送れることも求められる。自身に収入がなくても配偶者やその他の親族の収入によって生計を立てていても良い。トゥキリは白鴎大時代、在留資格認定証明書(留学ビザ)で滞在し、卒業後は就労ビザ取得で日本に在住していた。