5人制勝ち抜き戦の男子は国士舘(東京)が決勝で大成(愛知)に2人残しで勝ち、5年ぶり8度目の優勝を飾った。3選手の点取り戦で争われた女子は埼玉栄が決勝で大成を1-0で破り、2年連続5度目の優勝を果たした。

 優勝を決めた直後の畳の上で、国士舘の岩渕公一監督は「受け継いでいるのではなく、受け継いでいるような試合だった」と選手にさらなる奮起を促していた。求めてきたのは、国士舘OBで今年1月に亡くなった斉藤仁氏(享年54)の勝負に対する執念の継承。この日の朝には、88年全日本選手権で故障を抱えて初優勝した際の「鬼神」と呼ばれた写真を選手に見せた。

 鬼気迫る表情を目に焼き付け、後輩たちは圧勝劇を繰り広げた。決勝では3人抜きで優勝に導いた「鈴木桂治2世」と評価される飯田(1年)は、「斉藤先生には『目の色を変えて練習しろ』と言われたことがある」とし、「精神的にきつい練習をやってきたので」と胸を張った。2月からは斉藤氏が取り組んだ往年の「鬼メニュー」が復活。朝練で6階までの非常階段の往復×10本などで、体力と精神を鍛えてきた。

 岩渕監督が「受け継いでいるような」と物足りなさを強調したのは、この優勝が始まりだから。斉藤氏が築いた常勝軍団復活へ、1人1人が「鬼」となるような稽古を続けていく。