ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20=ANA)が「雪辱戦」に挑む。3月31日に都内で発表されたフィギュアスケートの世界国別対抗戦(16~18日、国立代々木競技場)の日本代表に決定。先月の世界選手権で2連覇を逃して2位に終わったため、「負けたイメージのまま終われない」と今季最終戦へ語気を強めた。

 羽生の声のトーンがひときわ上がった。「うれしいですよ! 負けたイメージのままなので」。これまでのシーズンは世界選手権が最終戦。そこで完全燃焼して終わってきた。ところが今季は先週末行われたその舞台で、同門のフェルナンデス(スペイン)に優勝を許し、銀メダル。不完全燃焼で終わるはずが「延長戦」が決まった。

 「あります! あります! 絶対にやります!」。とにかくテンションが高い。聞かれたのは「今季初のミスなしで演技を終えたい気持ちがあるか?」。質問にかぶせるように、まくしたてた。昨年11月の中国杯での激突事故に始まり、腹部の手術など災難続きだった。万全で臨めた試合はなく、母国での一戦は願ってもない舞台だ。

 試合は団体戦。「試合の時は1人で閉じこもるタイプなので、どううまく集中できるか」と不安も口にする。仲間の応援など、通常とは異なる時間配分が求められるため、「過去の試合の映像で研究したい」とイメージをふくらませる。

 大会は自己ベストを更新する選手が多く出る傾向がある。応援の後押しや、リラックスした空気が背中を押す。「意地でも自分の力を出し切る」。完璧に演技を決めれば、世界最高得点連発での有終の美も見えてくる。【阿部健吾】

 ◆世界国別対抗戦 今年4回目を迎える国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界の上位6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝者には12点、2位には11点…と与えられ、各国の合計点で優勝国を競い合う。今回の参加国は日本、ロシア、米国、カナダ、フランス、中国。日本は12年大会で初優勝し、昨年は3位。