世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、ストレート勝ちで8強入りを決めた。同20位のゴフィン(ベルギー)に6-1、6-2の68分で快勝。ツアー本戦で初戦からの3試合連続ストレート勝ちは8度目で、そのうち6度が決勝進出。吉兆の“速攻テニス”でマスターズ初優勝が見えてきた。日本時間3日に予定されている準々決勝では、同24位のジョン・イスナー(米国)と対戦する。

 強い! この日も失ったのはわずか3ゲーム。1時間強の速攻試合で、初対戦となったツアー有望株のゴフィンをあっさり退けた。「ストロークに自信がみなぎっているのが自分のテニスに大事なこと。いい感じでプレーできている」。充実感があふれた。

 内容は、スコアほど楽ではなかった。相手は昨年ツアー2勝を挙げ、自己最高の20位と躍進する錦織の1歳年下。序盤は相手の伸びるショットに押される場面もあった。しかし「最初の数ゲームで我慢し、自分のペースにできた」。1オールから5ゲーム連取で、そのまま勝利に結びつけた。

 錦織はパワーでの一発よりも、展開力でポイントを取るタイプ。必然的に試合時間は長くなり、失うゲーム数も少なくない。それが今大会は初戦から3試合で、失ったゲーム数はたった10。「めったにない。すべてがうまく運んでいる」。初戦から3戦連続ストレート勝ちの8試合では、最少失ゲーム数と絶好調だ。

 それだけではない。3試合連続のストレート勝ちは決勝へのサインだ。過去7試合の中で、決勝に進めなかったのは1度だけ。優勝2回、準優勝4回と抜群の強さを誇る。ツアー下部大会の本戦では、初戦から3戦ストレート勝ちは2回あり、ともに優勝している。

 次は初めての顔合わせとなるイスナー。今大会初のビッグサーバーが相手となる。イスナーは身長208センチ。4回戦では、ラオニッチとのサーブ合戦を、25本のサービスエースをたたき込み制している。錦織は「サーブをキープするのは最低限。リターンがカギとなる」。初対戦でビッグサーバーのコースを読むのは厳しいが、3試合で15度も相手のサービスゲームを破った必殺リターンで対抗する。そのリターンの良さを聞かれた錦織は「才能かな」と苦笑い。余裕のジョークが飛び出すほど絶好調だ。