日本バスケットボール協会の改革を主導するタスクフォースの川淵三郎チェアマン(78)が3日、日本協会と都道府県協会のガバナンス(統治)欠如に危機感を示した。この日は新リーグ運営の社団法人「ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(JPBL)」の設立記念セレモニーを開催。リーグ統一にはめどは立ったが、日本協会と地方協会の不透明な金の流れに「国際連盟(FIBA)から再処分もある」と警鐘を鳴らした。

 ガバナンス欠如の象徴的なシーンだった。新リーグの社団法人JPBLの理事長に就任した川淵チェアマンの会見の最中、日本協会の梅野哲雄副会長が途中退席。FIBAから無期限の国際試合停止処分を受けた責任者。当事者意識に欠けたように映った。

 川淵チェアマンも危機感を持っている。使命だったトップリーグの統一は順調に進むが、日本協会、地方協会の財務状況を分析していくうちに、厳しい現実を突き付けられた。「リーグ統一より、協会のガバナンスが大問題。しっかり立て直さないと(リーグ統一で制裁解除されても)もう1度制裁されることはあり得る」と懸念を抱いた。

 地方の都道府県協会は多数が任意団体。タスクフォースの調査によると、収支など財政状況が不透明な団体が多数あった。川淵チェアマンも「常識では考えられない。びっくり仰天した」と驚くしかなかった。財務の透明性を図るため、地方協会の法人化を進める。法人化に成功したサッカーの地方協会に協力を求め、指導を仰ぐことも決めた。

 昨年12月、日本協会の理事は総辞職を表明。8日の理事会で辞表届が提出される。非常事態を早急に乗り切るため1年間は会長を含めた理事は5、6人と少数精鋭の特別態勢でガバナンスを強化する。

 川淵チェアマンは次期会長について「FIBAは“今までバスケットに関わった人は一切白紙にしろ”と言っている」と話す。大改革を課せられた新執行部は、しがらみのない外部の人間が中心になる。【田口潤】

 ◆日本協会の資格停止 FIBAはトップリーグが日本協会公認のNBLとプロのTKbjリーグに分かれていることを長年問題視。08年には「1国1リーグが望ましい」と指摘。FIBAが設けた昨年10月の期限に一元化できず、同11月に無期限の国際試合停止処分を受けた。FIBAは日本協会のガバナンス欠如、代表の強化体制確立も問題視。タスクフォースはリオ五輪予選前の5月下旬の解決を目指している。