重量級のエース田知本愛(26=ALSOK)が、10度目の挑戦で初の女子柔道日本一に輝いた。2年連続同じ顔合わせとなった決勝戦で、山部佳苗(24)に判定勝ち。昨年一本負けしたリベンジを果たし、初優勝した選抜体重別との連勝を決めた。大会後の強化委員会で世界選手権(8月、カザフスタン・アスタナ)代表入りした田知本は、日本一から世界一を目指す。残る代表1枠には、準優勝の山部が選ばれた。

 初優勝への執念で、田知本が前に出た。山部との決勝戦、ともに技が出ずに6分が過ぎた。ポイントはなく、指導が3ずつ。「判定は分からなかった」と振り返ったが、旗は田知本の白が3本。「この大会で勝つことだけを考えていた。やっと勝てた」と喜んだ。

 5日の選抜体重別で初優勝すると、翌6日から練習した。「休みなく練習したのは初めて。対戦相手を想定して、一緒に研究しました」と、70キロ級の妹遥は涙で話した。「この大会は相性が悪い」という思いから「何か違うことを」と決意した無休練習。「競った試合に勝てたのは大きい」と満足そうに言った。

 「遥の助けを得て、愛は成長した。姉らしくなりました」と、観戦した母由佳さん(52)は話した。過去世界選手権では銅メダル4個。「日本一になって堂々と世界に出たい」という思いが、やっとかなう。日本一から世界一へ、家族の支えも得て田知本が挑む。