錦織が勝負強さを発揮し、返り討ちにした。昨年決勝の再現となった3回戦で、2連覇を狙う世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、同31位のヒラルド(コロンビア)に6-2、6-1の1時間22分でストレート勝ち。2年連続のベスト8入りを決めた。世界トップ10入りの足掛かりになった昨年のクレーコート初優勝から1年。第1シードにふさわしい実力を誇示した。24日の準々決勝では同16位のバウティスタ(スペイン)と対戦する。

 昨年に続き、激しい打ち合いを制したのは錦織だった。昨年の決勝より1ゲーム少ない計15ゲームで返り討ちだ。「昨年の決勝で当たった相手と3回戦でプレーするのは変な気分」。それでも第1シードの貫禄で、雪辱を狙った相手を見事はね返した。

 第1セットの滑り出しから一気に4ゲームを連取した。しかし、2ゲームを奪い返され、自分のサーブの第7ゲームももつれた。落とせば流れが変わりかねない場面。しかし、ヒラルドのブレークポイントで跳び上がってバックハンドのクロスを打ち込み、窮地を脱してキープした。その勢いのまま7ゲームを連取して試合を決めた。ヒラルドは、昨年の決勝の反省を生かし、錦織が得意とする長いラリーを避けようと強打で攻めてきた。しかし、その強打をしっかりと受け止めて最後はガッツポーズで締めくくった。「大事なところでいいプレーができた。とてもうれしい。クレーならではのテニスに慣れてきた」と充実した表情を浮かべた。

 今大会は、5月下旬に始まる全仏オープンへ続くクレーコートシーズンの“開幕戦”だ。昨年は初優勝し、続くマドリードオープンでも決勝に進出、初めて世界トップ10入りを果たした。「大好きな場所。自信も昨年よりある」。開幕前に、そう話した錦織が力を出しきれば、2連覇はハッキリと見えてくる。