パワー自慢のダークホースが世界切符をつかむ。体重無差別で柔道日本一を決める全日本選手権は、今日29日に日本武道館で行われる。注目は今月の選抜体重別で100キロ超級を制した西潟健太(27=旭化成)。100キロ級から階級変更して3年で「覚醒」した男が、世界選手権(8月、カザフスタン)代表を狙う。

 「練習で力負けすることはない」。さらっと口にする。ここ1年、大外刈り、払い腰、浮き落としなどで猛者を倒してきた。中でも今月上旬の選抜体重別は圧巻だった。準決勝で昨年世界選手権銀メダルの七戸を下し、対戦成績を5戦5勝に。決勝では昨年覇者の王子谷に一本勝ち。筋トレのベンチプレスの重量は「言えないです…。自信ない」と恥ずかしそうにしたが「柔道力」は群を抜く。

 もともと100キロ級。結果が出なかった社会人2年目の冬に「このままではクビ」と決意。体重を現在の136キロまで増やし「感覚が変わった」。従来の指導を狙うスタイルが、「力がついて投げられるようになった」と覚醒した。

 もみあげからつながったあごひげはワイルドだが、「あごの長さを隠すため…」と照れるなど、素顔は豪快さとは離れる。会見に呼ばれ「ビックリ」、「世界選手権からは一番遠いところにいる」と謙虚さも。ただ、「優勝でアピールしたい」と話す時だけは「力」強かった。【阿部健吾】

 ◆西潟健太(にしがた・けんた)1987年(昭62)9月23日、新潟県阿賀野市(旧北蒲原郡安田町)生まれ。安田中-桐蔭学園高-国士舘大-旭化成。14年全日本選手権3位。国際大会は14年グランプリ青島3位。両組みで技が出せる。得意技は大外刈り。193センチ。