フィギュアスケート女子の元世界女王で、今季は休養していた浅田真央(24)が、現役続行を視野に練習を始めたことが12日、関係者への取材で分かった。5月に入り、休養前まで師事した佐藤信夫、久美子両コーチに再び指導を依頼。今後は練習を重ねながら復帰の可能性を模索していく。18日に東京都内で記者会見し、意思を表明する。

 浅田が選手生活を続けるために、1つの決断を下した。今月に入り、佐藤夫妻に再び指導をお願いし、来季の復帰へ向けて動きだした。関係者は「本人はすごくやる気になっています。今は1年間休んでいたので、本当にできるのかどうか、練習をしながら体などへの影響も見て、滑っているところです」と話した。練習では代名詞であるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も跳んでいるという。

 ちょうど1年前の5月、1年間の休養を決めた。集大成として臨んだ14年2月のソチ五輪で6位に終わった後、進退について「ハーフ、ハーフ(半々)」と言及。日本人最多3度目の優勝を果たした同年3月の世界選手権後、心身の疲労を理由に休養を表明し、大会に出場していなかった。

 その間は、友人との旅行や、京都での舞妓(まいこ)体験、ラジオDJ、被災地などでの同世代との交流など、精力的に「フィギュア外」の活動に打ち込んできた。その中で自分の進むべき道を模索してきた。

 今年に入り、周囲に引退を示唆したこともあった。先月、あこがれの伊藤みどりさんとラジオの収録で対談。1度引退後に復帰した経験がある伊藤さんとの対話は自ら望んだもので、「今しかできないことをして、後悔が残らないようにしてほしい」と諭され、その言葉を胸に刻んでいた。

 今後は本当にカムバックできるのか見極めていくことになる。1年間のブランク、さらに24歳という年齢もある。フィギュア選手としては大ベテランの域であり、復帰後に以前のような動きができるかどうか。佐藤コーチらとも相談しながら、練習を重ねていくことになる。すぐに3年後の平昌五輪を目標にすることはできないかもしれない。

 休養中、確信したことが1つある。「やっぱり、フィギュアが好きなんだな」。その思いに満ちあふれ、困難な道とは知りながら、復帰へ向けて歩み出す。日本のヒロインとして、フィギュア界のエースとしてこの10年間滑り続けてきた。その道にはまだ先がある。

<ソチ五輪以降の浅田のコメント>

◆14年2月17日 ソチ五輪試合前「あまり最後とは思わないように」

◆14年2月25日 ソチから帰国「50パー…、今のところハーフ、ハーフぐらいです」

◆14年3月29日 世界選手権で金「体はまだまだいけるので、自分の気持ちだと思う」

◆15年2月22日 宮城県気仙沼を訪問「被災地に来て、私自身も頑張らないといけないなと思いました」

◆15年3月19日 中京大卒業式で「ホッとしている。同時に新たな1歩が始まると思う」