日本水泳連盟の上野広治競泳委員長(56)が26日、来月の役員改選で交代案が浮上していることに怒りをみせた。都内で行われた日本オリンピック委員会(JOC)の強化本部会に出席。同連盟の鈴木大地会長(48)と厳しい表情で話し込む場面もあった。世界選手権(ロシア)が2カ月後、リオデジャネイロ五輪は1年後に迫る。現場責任者として強化策を進めているだけに「辞めさせる理由をはっきりして、納得させてほしい」と語気を強めた。

 00年シドニー五輪から計28個のメダル獲得に貢献してきた。自身の交代案に「(水連執行部が)簡単に取れると思っているなら情けない」。メダル0に終わった96年アトランタ五輪後から強化に携わり、常に負けたら辞める覚悟を持ってきた。「死に物狂いでやっている。アトランタのとき連盟で責任を取った人がいますか。のこのことみんな残っている」と指摘した。

 一部選手が不安を口にするなど現場にも動揺が広がる。上野氏は「肝心なことは、五輪での選手の活躍をサポートすること。こんなゴタゴタに巻き込まれては」。来月28日の評議員会、理事会での新体制発足に向けて、今日27日には役員候補者選定委員会が開かれる。連盟内には上野氏の競泳委員長を交代させ、競泳、飛び込み、シンクロなど全5競技を統括する強化本部長に専任させる案がある。鈴木会長は「東京五輪を見据えて上野さんの実績を最大限いかすことを考えたい」と話すにとどめた。