【パリ28日=吉松忠弘】世界5位の錦織圭(25=日清食品)に、悲願の4大大会初優勝へ追い風が吹いた。全仏オープン3回戦で対戦する同48位のベッカー(ドイツ)が右肩の負傷で棄権すると、大会側から発表された。錦織は不戦勝で4回戦進出が決まり、31日予定の4回戦では、同43位のロソル(チェコ)と同74位のガバシビリ(ロシア)との勝者と対戦する。

 錦織はこの日、昼から会場外のコートで約1時間半、練習した。その練習中にマネジャーからチャン・コーチに連絡が入り、ベッカーの棄権が知らされた。錦織は、4大大会本戦で計65試合を戦っているが、相手が戦わずして棄権するのは初めて。

 3回戦の対戦がなくなったことで、3日連続の休養が取れる。大事ではないが股関節などに爆弾を抱える錦織にとって、大きなプレゼントだ。中尾公一専属トレーナーも「体にとっては非常に大きい。加えて、対戦相手は疲れて上がってくる」と前向きにとらえた。

 錦織は、自らのツイッターで「ベッカーがケガをしたと聞き非常に残念。早い回復を祈っている」と、つぶやいた。4回戦の相手は、どちらが勝ってきてもノーシード。錦織がここを勝ち上がれば、準々決勝で予想される対戦相手はベルディハ。今季ツアー3度の準優勝で好調の選手とはいえ、錦織が3勝1敗と勝ち越している。まさに、錦織優勝への風が吹いている。