男子重量級のエース、山口剛(26=ブシロード)が、完全復活を遂げた。

 昨年2月の左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂で1年近くを棒に振った山口だが、同12月に「試運転」として出場した全日本選手権に続く今大会の優勝で世界選手権(9月・米ラスベガス)代表に決定。8位になった13年以来の世界舞台に向けて「メダルをとって、五輪代表を決めたい」と話した。

 同階級では圧倒的な強さを誇るが、この日は「代表がかかるから慎重になってしまった」と山口。初戦の2回戦ではロンドン五輪代表の磯川孝生(31)に4点を先行される苦しい展開。それでもポイントを重ねて追いつき、最後は5-4と逆転して「あそこで勝てたところが成長した跡。11年の国体で負けて以来の対戦でリベンジできた」と喜んだ。

 ケガを淡々と振り返る山口に対し、ブシロードの永田裕志監督(47)は「本人はすごく努力した。ここまで復活できたのは、努力あってのこと。本当に頭が下がる思い。まさに、サマー・ドリーム・ジャンボ・スペシャル・ローリング・カムバック・ストーリー」と得意なフレーズを出して愛弟子をたたえて横に並び、「お約束」の敬礼ポーズを披露した。

 84キロ級から96キロ級(現在は97キロ級)に転向して3年、「96キロ級になった時から重量級は自分が支えるつもりでやっている」と意気込む。ブシロード入りして環境にも恵まれ、強さを増した山口。「世界のメダルをとって、重量級でもできることを示したい。日本のレスリングを変えたい」と話していた。