【ウィンブルドン27日=吉松忠弘】けがの功名で快進撃だ! 29日に開幕するテニスの4大大会ウィンブルドンを前に、世界5位の錦織圭(25=日清食品)が会見を開き、先週のハレ(ドイツ)の大会で痛めた左ふくらはぎについて、「少しずつ良くなってきている」と話した。錦織は、1回戦で、昨年3回戦でフルセットと大苦戦した世界56位のボレリ(イタリア)と対戦する。

 完治していないだけに、もちろん不安はある。しかし、この数日間で、間違いなく回復している実感もある。「毎日、ちょっとずつ良くなっているのは感じている。まだ(開幕まで)2日ある」。出場は決めている。どこまで戦えるか。自信と不安との闘いだ。

 希望はある。「全米の時よりは少しはいいので」。昨年の全米は、開幕約20日前に右足親指の嚢胞(のうほう)を手術。開幕6日前に抜糸して、コートで練習を始めた。それでアジア男子初の4大大会準優勝までこぎ着けた。その時より、準備が少しできているというのは朗報。けがの功名の再現も期待できる。

 練習では、まだ左ふくらはぎに白いテープが巻かれている。しかし、バックハンドへの動きがぎこちなかった前日とは大きく違い、この日の実戦練習では格段と動きがスムーズになった。ハレの直後には「もしかしたら(ウィンブルドンに)出られないかもと思った」。それでも、「何日かで治りそうだと感じた」と、リハビリと練習を続けてきた成果だ。

 ただ、初戦の相手がやっかいだ。昨年、自身初の4回戦進出をかけ、3日がかりのフルセットを戦ったボレリが相手だ。「あの試合は本当に印象に残っている」。片手のバックハンドは、芝で有効な逆回転のスライスも打て、攻守のバランスは抜群だ。それだけに「自分のプレーを心がけてやりたい」と気を引き締める。

 6月の全仏で自身初の8強入り。これで、8強になっていない4大大会は、このウィンブルドンだけだ。今年は会場そばに家を借り「リラックスできる。親のご飯も食べられる」。気持ちは充実感でいっぱい。残りは、体の完全回復だけだ。