20年東京五輪に向けて、高校生サーファーが目の色を変えた。日本サーフィン連盟(NSA)は28日、五輪追加種目の最終候補に残ってから初の強化練習を実施。静岡・牧之原市の静波海岸に、全国から18歳以下の強化指定選手らが19人集まった。昨年のボーイズクラス(13~16歳)ランク1位の田中大貴(17=宮崎支部)やガールズクラス1位の鈴木姫七(16=湘南西支部)が五輪への思いを込めて波に乗った。

 午前10時、海岸に集まった選手たちに、日本サーフィン連盟国際専門委員会の吉永修委員長(57)があいさつする。「東京五輪で実施されるかもしれない。みんな出られるように頑張ってください」。田中や鈴木ら選手たちは、その言葉を真剣な表情で聞いた。

 「まさかという思いもあるけれど、五輪は夢。もし東京でやるなら絶対に出たい」と田中は言った。ともに追加種目として申請していたのは知っていたが、22日発表の最終8候補に残ったのには驚いた様子。「先生や友だちに『残ったね』って言われて、うれしかった」と、鈴木は笑顔をみせた。

 2人とも小学生の時に親に連れられて始め、すぐに競技にのめり込んだ。「自然と触れ合い、世界に友だちができることが魅力」と鈴木。「同じ波は2度とこない。だから、楽しい」と田中。鈴木は学校が終わると毎日海に出る。田中は朝と夕の2回練習。「僕は競技としてのサーフィンしか知らない。遊びでやったことがないので」と、競技者としての自負を見せた。

 東京五輪への道が険しいことは分かっている。「本当に(五輪競技に)なったらすごい。競技人口も増えて、注目もされる。選ばれるようにアピールしていきたい」と、すでにテレビなどから出演依頼が舞い込んでいる鈴木は話した。「日本でやれば、日本人には有利。波も分かるし、練習もできる。5年後は22歳で選手としていい頃。地元で優勝したい」。田中は真剣な表情で言った。20年大会の男女エース候補は、五輪の夢に向かって波に乗る。【荻島弘一】

 ◆田中大貴(たなか・だいき)1998年(平10)6月14日、福岡県生まれ。7歳の時にサーフィンを始め、年代別の大会などで活躍。国内では珍しいサーフィン部がある宮崎・日南学園に進学し現在2年生、昨年の全日本選手権ボーイズクラスで優勝した。5月の世界選手権は男子最年少で49位、10月の世界ジュニアでは「表彰台が目標」。好きな選手はミシェル・ボレーズ(タヒチ)。

 ◆鈴木姫七(すずき・ひめな)1998年(平10)7月31日、神奈川県生まれ。10歳の時にサーフィンを始め、小田原市酒匂川河口などで練習を積む。昨年の全日本選手権ガールズクラス2位、ジュニアオープン選手権優勝。現在は小田原城北工デザイン科2年。5月の世界選手権は25位、10月の世界ジュニア代表に決まっており「メダルをとりたい」。好きな選手は関本海渡プロ。