2520億円の巨額整備費に話題が集まる新国立競技場問題。スポーツ関係者をはじめ、各方面から思い思いの意見が上がっている。

 元陸上競技選手でスポーツコメンテーターの為末大氏(37)は10日に更新したブログで「新国立競技場建設の今の案に反対です」とコメント。

 2050億円の建設費および年間40億円ともいわれる維持費など費用問題については「どう考えても経済的に負担が大きすぎる競技場を作ることは今の日本の状況から見ても反対です」と言い、「日本が迎える高齢化社会において、重要なのは一つのどでかい競技場ではなく、小学校や高校大学のスポーツ施設を解放することや、予約しにくく使いにくい日本のスポーツ施設を解放することだと思います。そうすればスポーツが身近になり、社会保障費が抑制され、健康寿命が実寿命に近づき、スポーツが日本が抱える課題解決に貢献できるのではないでしょうか」と見解を示した。

 また、元陸上競技選手でタレントの武井壮(42)は13日にツイッターで「日本が考えて日本の人みんなが向こう100年愛し続けられるような一目で日本を感じられる日本最高の競技場を作って欲しいよ。。海外の人は日本の伝統文化をみんな美しいと称えて旅しに来てくれる、それが答えじゃないのかな。。」と述べた。

 作家の乙武洋匡氏(39)は12日にツイッターで、同競技場のデザイン変更が日程的に間に合わないとする一部意見に対し、「今からのデザイン変更では『間に合わない』と言われているのは、あくまで2019年ラグビーW杯の話。ここを日産スタジアムなどで代替することができれば、見直しも十分に可能となる」。また、東京五輪・パラリンピック組織委員会長の森喜朗元首相が同競技場について「東京五輪のレガシーとして残そうというのが我々、スポーツ愛好者の考え方」だと語ったことを受け、14日には「このままだと、年間40億円の維持費がかかる“負のレガシー”として残る可能性が大」と反論した。

 作家でミュージシャンの辻仁成(55)は11日、ツイッターで「帰国して一番驚いたのは新国立競技場の総工費2520億円のニュース。せめてその半分を福島に回してほしいなり」と、費用は震災復興のために用いるべきだと主張した。

 脳科学者の茂木健一郎氏(52)は13日、フェイスブックで「2020年の東京オリンピックを最高のかたちで迎えるためにも、現行の案は白紙にもどし、槇文彦氏の示唆されるように設計をやり直して、より現実的なかたちにすべきである」と主張。「そもそも、21世紀において、日本が世界に発信する建築的メッセージとして、ザハ案はまったくそぐわない」とし「周辺の環境、文化、歴史的文脈に合わせて、その中で違和感を与えず、ひっそりと息づく、そんな建築であり、まさに日本人の伝統的な建築観(借景などを大切にしてきた)」が必要だと訴えた。

 また、新国立競技場問題に熱心なタレントのクリス松村は14日に更新したブログで、「こういうずさんな発表をしてきた担当者の方々を一新すべきです。緊張感がゼロ・・・というか、やはり自分たちのお財布からお金を出すような気持ちとしか思えません。ただでさえ、ずさんな見積りから始まった騒動なのですから・・・」と批判。さらに森元首相の「レガシー」発言に触れ、「戦争という悲劇、二度とあってはならない哀しみの最後の一場面があった場所を国立競技場とし、1964年の東京オリンピックは、開催されました。国立競技場は、戦争、無念な思いで亡くなられた学生を含めた方々が、日本が立ち直るために残してくれたものの1つだったと思います。あの国立競技場こそが、レガシーだったはず」とし、「その国立競技場が取り壊されて、今、いろいろなことが変なことになっているように危機感を感じています」と思いをつづった。