新国立競技場のデザインを決める国際コンペで審査委員長を務めた日本を代表する建築家の安藤忠雄氏(73)が16日、東京都内で記者会見を開いた。建設計画の総工費の膨張で騒動が大きくなる中、安藤氏が公の場で発言するのは初めて。安藤氏の主な発言と質問とのやりとりは、以下の通り。

 安藤氏 アーチの案は、当初からあった話です。日本中の人たちのオリンピックです。東京ですが日本のオリンピックです。

 -ほかの審査員によると、コストの議論はほとんどされなかったというが

 安藤氏 実際にはアイデアのコンペ。徹底的なコストの議論にはなっていない。

 -これがどのようなスポーツ、建築としてのレガシー(遺産)になってほしいと思ったのか

 安藤氏 (ザハ氏の案は)形態的に個性があるが、時代はコンピューターなのでこの時代にしかできないデザインがある。1964年の時代とちがって、今にしかできないものがある。この時代にこれを作ったというものにしたい。

 -(声明文に)「2019年のラグビーW杯を見据えてタイトなスケジュールがあった」というが、森喜朗氏の影響は。最近は、「森喜朗遺跡」などとも言われている

 安藤氏 まずは20年のオリンピックのことを考えていた。19年のラグビーも知っていた。ネーミングについては、最近聞こえてきますが(笑)。できればラグビーとオリンピックの両方に使えれば良いと思う。

 -審査委員長としてデザインを見直していいと思うか

 安藤氏 基本設計が1625億円というのは、あまり(世の中に報道で)出ていない。2520億円かかるというのを聞いた時に、私ええーっと思いました。審査委員長というよりは1人の国民としてそう思う。

 -下村文部大臣なのか、誰がリーダーかわからない。リーダーシップについてどう思うか

 安藤氏 リーダーシップはいりますね。リーダーはどなたかな。文部大臣なのか、総理大臣なのか。わたしが決められるわけではない。

 会見は約30分で終わった。