シンクロナイズドスイミングのチーム・テクニカルルーティン(TR)決勝で日本(乾、三井、中村、箱山、吉田、中牧、丸茂、小俣)は92・4133点で、ロシア、中国に続き今大会2個目の銅メダルを獲得した。予選は3位ウクライナに0・2204点差の4位で通過。決勝では、日本が力強くもスピードある繊細な演技で逆転した。

 デュエットが8年ぶりに奪ったメダルの効果は大きい。全選手がその気になった。96年アトランタ五輪で忍者、00年シドニー五輪で空手と井村ヘッドコーチ(HC)が得意とする日本調の曲。タイトルは「弥栄日本」。低迷してきた日本が復活して栄えるとの願いを込めた。決勝は、その通りの演技で、逆転劇につなげた。デュエットに続く、2個目のメダルとなった乾は「チームのみんなで(喜びを)味わえた。勝負に勝ったのは大きな成果」と喜んだ。

 選手たちの曲への思い入れは深い。曲中には「サー」「イケイケイケ」と選手の声が入る。5月に大阪市内でレコーディング。井村HCは「自分たちの声が入っていたら頑張れる」。狙いはずばりはまった。前夜のミーティングではチームのメンバーが、デュエットの2人のメダルを見て、触った。井村HCは「わたしは取れないけど、あなた達はメダルを取れるチャンスがある。自分の手で取ってきなさい」と選手を送り出した。

 井村HCは「世界選手権を終えたとき(ジャッジに)表彰台に乗る可能性の大きな国とのレッテルをもらって帰りたい」。このままメダルラッシュで、来年リオデジャネイロ五輪に勢いをつける。