建築家・槙文彦氏のグループが30日、都内で記者会見を行い、見直しとなった新国立競技場計画の今後の進め方についての見解を発表した。

 日本には8万人を集客するスポーツチームはないとし、本節部分を5万5000席、仮設部分を2万5000席とする案を示した。国際的な陸上競技場を主目的とするならば、サブトラックの確保を一体的に計画すべきであり、球技場とするならば天然芝の育成を最優先として日照と通風を確保し、ピッチと観客席の接近性が必須であるとした。

 一方で槙氏はあらためて、国際コンペに参加することは強く否定した。「これまで『こうであってはいけない』ということを言い続けてきた。(新国立が)こうであるべきだとは言うつもりはない」と言い切った。

 政府から国際コンペの審査委員の要請を受けた場合については「私はやらないよ。安藤(忠雄)さんのようにはなりたくない」と笑った。

 また、槙グループの複数人がゼネコン主導のデザインとなることを懸念。ゼネコン内の設計士がデザインをすると、企業体質としてどうしても利益追求の原理が働き、斬新なデザインが生まれにくい状況になるという。

 建築家・古市徹雄氏は「世界に誇るデザイン性の高いものが必要。普通のものを造るなら造らなくていい。建築的に格好良く、誇りの持てるものを造ってほしい。代々木競技場のような50年間印象に残るものを造ってほしい」と語った。