日本オリンピック委員会(JOC)の平岡英介専務理事は31日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の新たな建設計画策定に向けて遠藤利明五輪相と会談し、政府が20年春としている完成時期を19年12月に早めるよう要望したことを明らかにした。

 平岡専務理事は会談後に「春の完成だと五輪のテスト大会がぎりぎりになり、修正する時間がないと危惧している」と述べた。政府が検討する大会後の管理・運営の民間委託について「利益を優先し、使い勝手が悪くなる恐れがある。選手や競技団体に負担がかからない形にしてほしい」とも伝えたという。日本陸上競技連盟と同様にサブトラック常設も求めた。

 JOCに先だって遠藤五輪相と会談した元陸上五輪選手の為末大氏は総工費の圧縮を念頭に「全部の要望を入れると、また盛りだくさんの競技場になる恐れがある。我慢してもらうこともスポーツ界全体で必要」との意見を伝えた。

 遠藤五輪相は同日の閣議後の記者会見で、従来案に反対してきた建築家の槙文彦氏らとの会談も希望し「多様な意見があると思う。十分踏まえる努力をしたい。可能な限り多くのみなさんに会いたい」と述べた。