日本体操界のニュースター、萱(かや)和磨(18=順大)が、シニアの国際大会デビュー戦で輝きを放った。得意のあん馬で金メダルを獲得し、平行棒でも3位と健闘。同じ大学1年の白井健三(日体大)との18歳コンビで、エース内村航平をケガで欠くチームを引っ張った。将来の目標に「打倒内村」を掲げる肝っ玉ルーキーが、世界選手権(10月・英グラスゴー)で世界の強豪に挑む。

 萱は追い込まれても慌てなかった。種目別のあん馬。直前に中国の肖若騰が15・575の高得点を出したが「強気にいこうと思った」。倒立旋回しながら移動する最高難度Gの「ブスナリ」を決め、僅差で振り切った。

 6月の種目別選手権あん馬で13年世界王者の亀山を下し、初の代表入り。シニアの国際大会は初だったが「国内大会と変わらない」という強心臓で活躍した。あん馬での代表入りも、エース候補として全6種目を任せた水鳥監督も「期待以上」と絶賛した。

 世界選手権のあん馬では金メダルが期待される。しかし、目指すのはオールラウンダー。多くの選手が世界選手権個人総合V5の内村に「別格」と白旗を上げる中、萱は「一番強い人だから目指すのは航平さん」。代表デビューの18歳が、内村超えへの第1歩を踏み出した。

 ◆萱和磨(かや・かずま)1996年(平8)11月19日、東京・立川市生まれ。小2の時、04年アテネ五輪の団体金メダルを見て体操を始め、千葉・幕張西中で全国7位。習志野高では高校選抜と全日本ジュニアの個人総合で優勝した。今春、順大に進み、6月の種目別選手権で優勝して初の日本代表入り。162センチ、52キロ。