東京都の舛添要一知事が21日、都内で定例会見を行い、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の計画見直し問題を巡り、五輪後の民営に関して否定的な見解を示した。

 今月14日の関係閣僚会議で「公設民営」が示されたが、「民営化とは、とにかく黒字を出せという考え方となる」と話し、プロ野球や音楽イベントに利用することになった場合「大雨になった場合に屋根がないといけない。でも関係閣僚会議ではスポーツ中心で過剰な機能は入れないということになった。とにかく黒字となれば、毎年ポール・マッカートニーを呼ばなければならない。それも屋根が必要となる」と、政府が発表した基本方針の矛盾を指摘した。

 その上で公営で行う利点を主張。アスリートだけでなく国民が運動する場所として利用することで健康増進ができ、医療費の削減につながるとの考えを示した。「毎年40兆円の医療費が使われている。新国立でスポーツできてその1割が削減できたら4兆円。(旧新国立計画の総工費)2520億円よりはるかに効果がある。そういうことを議論していくべきだ。株主は国民なんです。どういう配当が来るか。民間に委託したらその配当が来ますか?」と訴えた。

 また、「陸上で金は稼げないが、国民の税金を出して作った目的の、1番目には新国立でスポーツ選手を育てるということ。あそこでインターハイを走れたらうれしい。あの国立競技場のおかげで金メダル取る選手が生まれたとかになれば、うれしい」と一流のスポーツ選手を育てる意味でも、新国立は公営で行うべきだとの考えも示した。