今大会を最後に現役引退する元五輪3連覇の野村忠宏(40=ミキハウス)が、3回戦で敗れた。シード選手で昨年3位の椿龍憧(23=ALSOK新潟)に開始26秒、腰車を食らった。直後に会見した野村は目に涙を浮かべながら「勝負ですから、負けは負け。ただ豪快に負けたな、と。これが今の実力。これが精いっぱいの力。しょうがないです」と話した。

 それでも、1回戦は一本背負い、2回戦は背負い投げと、ともに一本勝ちした。「豪快に勝って、豪快に負けて。負け方も一本、勝ち方も一本、そういう自分の柔道人生だった。世界へ導いてくれた技で勝てたんで、それは良かったなと思います」と納得。この日は、左足と右腕などにテーピングを施しての出場。引退の理由について「長年の酷使で体の限界。これはどうしようもない」と悔しげに語った。

 観客席では家族のほかにも、親交のある競泳の五輪2大会連続2冠・北島康介(32)や、ラグビー元日本代表の大畑大介氏(39)、08年北京五輪のフェンシング男子フルーレ銀メダルの太田雄貴(29)、同じミキハウス所属で飛び込みの寺内健(35)らが、野村の戦いを見守った。