世界4位の錦織圭(25=日清食品)が、いよいよ全米の舞台に戻ってくる。テニスの4大大会今季最終戦全米オープンが31日、ニューヨークで幕を開ける。昨年、アジア男子シングルス初の準優勝に輝いた錦織は今年、68年オープン化(プロ解禁)以来、日本男女を通じて4大大会最高の第4シードとして登場。3週前のロジャーズカップで痛めたでん部も完治し、万全の状態で悲願の4大大会優勝をつかみ取る。初戦は開幕日の31日午前11時(日本時間9月1日午前0時)開始で、世界41位ブノワ・ペア(フランス)と対戦する。

 昨年の快挙から1年が過ぎた。ラオニッチとの2日がかりの死闘、初めて世界王者ジョコビッチを4大大会で下した歓喜、そして決勝で敗れた悔しさの余韻が、摩天楼ニューヨークに再びよみがえる。しかし、錦織は「今年は新しい全米。優勝とか考えず、1回戦から自分のプレーを貫きたい」と新たな気持ちで挑戦だ。

 68年オープン化(プロ解禁)以降、4大大会では、日本人最高の第4シードがついた。準決勝までジョコビッチ、フェデラー、マリーの上位3人と対戦しない。錦織自身は「決勝でやるか、早い回でやるかの違い。あまり関係ない」とシード順は気にしないが、2週間の長丁場で、準決勝まで力を温存できる可能性は大きい。

 その第4シード、世界4位で大会を迎えられたのも、昨年の全米から1年間の成長が大きい。初めてトップ10に入ったのが昨年の5月12日で、9位にランクされた。それ以降の1年3カ月(61週)で、途中の11週を除き、トップ10を堅持。特に全米準優勝後は、トップ10から1度も落ちていない。

 また、初めてトップ5入りした昨年11月3日以降、ここまでの38週で、トップ5から落ちたのはわずか1週だけ。錦織は「トップ10を1年間守ること、トップ5を長く維持することが目標だったので大きな自信になる」と胸を張る。

 昨年の全米後は、5大会で優勝した。その安定した好成績が、高い世界ランクを支えている。「底力が上がっているのを感じている」。この安定感は、全米準優勝にも匹敵する価値があると言えるだろう。3週間前のモントリオールで痛めたでん部も完治。「気持ちも体も100%の状態」と、昨年とは対照的に、万全の状態で悲願の優勝をつかみ取る。

 ◆14年全米の錦織VTR 開幕の20日前に右足親指裏にできた嚢胞(のうほう)の手術を受けた。6日前にコートでの練習を始めたばかりで、ぶっつけ本番となった。それでも4回戦で2日がかり4時間19分の激闘でラオニッチを破ると、準々決勝でも全豪覇者のバブリンカをフルセットで撃破。準決勝ではジョコビッチを4セットで下し、日本男子で初めて4大大会で第1シードを破る大金星を挙げて決勝進出。決勝ではチリッチにストレートで敗れたが、アジア男子としてシングルス初の4大大会準優勝に輝いた。

◆WOWOW放送予定 31日午後11時55分から男女シングルス1回戦。WOWOWプライム(無料)にて生中継。放送時間変更の場合あり。