最年長のロック大野均(ひとし、37=東芝)が三度目の正直で初勝利をつかむ。W杯イングランド大会に出場するラグビー日本代表が1日、羽田空港を出発し、ロンドンのヒースロー空港に到着した。07年、11年大会と惨敗を経験してきた大野は、衰えの見えない運動量を武器に、91年大会以来となる日本の勝利に挑む。チームは英国西部の事前合宿地ブリストルへ移動し、2日から練習をスタートさせる。5日にはグロスターでジョージアとW杯前最後のテストマッチに臨む。

 出発前に羽田空港で行われたセレモニーで、大野はリラックスした表情だった。名前の「均」という漢字から「キンちゃん」の愛称で親しまれ、この日も搭乗直前までファンの写真撮影に笑顔で対応した。

 過去のW杯2大会はともに1分け3敗に終わった。初出場した07年大会の初戦でオーストラリアに3-91で敗れるなど、強豪にたたきのめされてきた。「日本ラグビーの試練だった。今度こそいい思いをしたい」と言い、今大会に懸ける思いは人一倍強い。「世界から尊敬を集め、日本の皆さんから誇りに思ってもらえる結果を残したい」。目指すのは91年大会以来の勝利と、8強進出だ。

 106キロの巨体でタックルし、倒れてもすぐに起き上がる運動量が持ち味。「何百リットル汗をかいたかわからない」と、4月から、ほぼ毎朝5時起きの強化合宿でとことん自分自身を追い込んだ。6月の紅白戦で右手甲を骨折しても、しばらくは病院にも行かなかった。ジョーンズ・ヘッドコーチが「キンちゃんのような選手が31人必要。輝かしいお手本だ」と絶賛する、日本代表の精神的支柱だ。

 海外出身選手に任されることが多いロックで主力であり続けてきた。今年も、筋肉量をさらに増やした。「体力が落ちた感覚もない。いけるところまでいきたい」と優しく笑う鉄人が、三たび大舞台に臨む。【岡崎悠利】

 ◆大野均(おおの・ひとし)1978年(昭53)5月6日、福島県郡山市生まれ。ポジションはロック。清陵情報高までは野球部。日大工学部に入学後、野球部に入ろうとしていたが、体格の良さを買われて勧誘されてラグビー部に入部。東芝で才能が開花し、04年に代表デビュー。キャップ数は日本歴代最多の93。192センチ、106キロ。

 ◆日本代表のW杯代表回数 91、95、99、03年大会で代表入りしたCTB元木由記雄とWTB松田努の4度が最多。今大会のメンバーでは、大野とトンプソン・ルークが最多で3度目。