2020年東京五輪・パラリンピック公式エンブレムの白紙撤回決定から一夜明けた2日、大会組織委員会は大会のシンボルマークとなる新たなエンブレムの選考に向けて動きだした。

 新国立競技場計画の見直しに続く前代未聞の事態を招いた責任を問う声が強まる中、より多くのデザイナーに門戸を広げた上で、透明性を確保する募集要項の策定に取り組む。一方、突然の撤回でスポンサー企業への影響も広がり、賠償問題に拡大する可能性も出てきた。

 前回の選考では、亀倉雄策賞など7つの主要デザイン賞のうち2つ以上を受賞した人に応募資格を絞り、国内外からあった104件の応募の中から佐野研二郎氏の作品を選んだ。しかし、応募資格を限定したことや選考過程がオープンではなかったことに批判が出た。新エンブレムでは、五輪招致の段階で使用して好評だった桜をモチーフにしたロゴが、当時の美大生の作品だったことも考慮し、実績に関わらず平等にチャンスを与える可能性を検討する。

 同日の衆院文部科学委員会で参考人として答弁した組織委の布村幸彦副事務総長は、スポンサー企業に関して「法的には損害賠償の問題が出てくる」との認識を示した。遠藤利明五輪相は「大変深刻に受け止めている。今後、こうしたことが起きないよう組織委と連携を進めたい」と強調した。

 責任の所在について遠藤氏が「組織委、審査委員会、デザイナー、三者三様の立場で責任があると思う」と述べたのに対し、民主党の笠浩史氏は「組織委の責任が最も重いと思うが、五輪相にも指導責任がある」と追及。維新の党の木内孝胤氏は「補償は相当な金額になる。損失以上に国の恥を世界にさらしてしまった」と批判した。