世界128位の西岡良仁(19=ヨネックス)が、4大大会3度目の本戦で初勝利を挙げた。元12位のマチュー(フランス)に6-4、2-6、6-7、6-1、6-2のフルセットで勝った。日本男子の4大大会では、08年全米の錦織圭(18歳7カ月)に次ぐ10代での本戦勝利となった。2回戦では同30位のベルッシ(ブラジル)に挑戦する。

 勝利の握手を交わすと、西岡は13番コートの中心に戻った。そして、ためらうことなく何度もほえた。雄たけびは、苦労して手に入れた4大大会初勝利の歓喜に満ちあふれていた。「本当にうれしい。チャンスをしっかりものにできたのが良かった」。

 西岡らしさ満載のテニスが、大舞台でついに開花した。相手のタイミングを外し、カウンターやドロップショットを織り交ぜ、自分の展開に持っていく。ツアー4勝で08年には世界12位まで上がった33歳をわなにはめ、「大きな舞台でも自分のやりたいことがやれている」と手応え十分だ。

 12年全米のジュニアで、錦織もできなかったシングルスとダブルスで4強に進出した。しかし、集中力に波があり簡単に崩れるのが弱点だった。昨年プロに転向。ツアー下部大会や、日本選手として40年ぶりに男子シングルスを制したアジア大会などで経験を積むと「自信がついてきた。昔みたいに焦らなくなった」。この日も、第3セットのタイブレークで4本のセットポイントを失ったが、第4セットから見事に立て直した。

 身長171センチと、錦織より約7センチ小さい。第1サーブは平均時速157キロと、マチューの第2サーブと同じぐらいの速度しかない。課題は体力。大会前に拠点とする米フロリダで2週間、合宿を張った。徹底的に体をいじめ、今大会に備えた。自身初の5セットでも「足がけいれんしないかとドキドキだった。意外と持った」と胸を張った。

 昨年の全米で、4大大会初挑戦で予選突破。しかし、本戦1回戦では風邪をひき、途中棄権した。その悔しさをバネに、今年の予選決勝では3本のマッチポイントをはね返し、この日は初の5セットを切り抜けた。前日にエース錦織がまさかの敗退。10代の新星が「僕しか残っていない。できるだけ残りたい」と、錦織の無念を晴らす。【吉松忠弘】

 ◆西岡良仁(にしおか・よしひと)1995年(平7)9月27日、三重県津市生まれ。4歳でテニスを始め、07年全国小学生優勝。中3で、盛田正明テニス基金の援助で米フロリダに留学。14年1月にプロ転向し、錦織に次ぐ2人目の基金からの卒業生となった。14年アジア大会で日本男子シングルス40年ぶりの金メダル。乃木坂46の西野七瀬の大ファン。171センチ、63キロ。

 ◆WOWOW放送予定 3日7時55分~、同日24時~、男女シングルス2回戦ほか。すべてWOWOWライブ。生中継。放送時間変更の場合あり。