ロスタイムの逆転劇に、約3万人の観客で埋まったスタジアムが熱狂に包まれた。

 ラグビー日本代表が1次リーグ初戦で、強豪の南アフリカから歴史的勝利を挙げた。堀江翔太選手(パナソニック)は「日本だけでなく、世界が認めてくれたと思う」と達成感に浸った。

 南アフリカは過去W杯で優勝2度、世界ランキング3位のラグビー大国で、日本は過去7大会で全て1次リーグ敗退。だが、残り10分を切っても29-32と大接戦。ここから、引き分けを狙わず勝利を求めて攻め続ける姿勢が観客の心をつかむ。会場の「ニッポン」コールは、次第に現地の観客も巻き込んだ「ジャパン」コールへと変わっていった。

 試合終了の笛が鳴ると、大喜びする桜のジャージーの日本ファンとは対照的に、緑のジャージーの南アフリカファンはぼうぜんとピッチを眺めた。カーン・ヘスケス選手(サニックス)の逆転トライを目の前で見たという千葉県松戸市の大学生、金森有理沙さん(22)は「興奮して震えが止まらなかった」と感激の面持ちだった。