20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、都内で理事会を開き追加種目の検討会議を行い、最終選考に残った8候補のうち、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技(18種目)を国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。

 野球・ソフトボールは国内で人気が高く、チケット収入も見込める。日本発祥の空手も野球同様に競技力が高い。スポーツクライミングはボルダリングの世界選手権覇者の野口啓代(26)ら、若手有望選手が多く、メダルが期待できることも決め手となったようだ。

 日本オリンピック委員会(JOC)は20年東京大会の金メダルの目標として20~33個を掲げる。JOCとしては、世界的に実力のある3競技を組織委員会に推薦した経緯もあった。

 IOCは追加競技に関して「若者にアピールする」競技を求めていた。スポーツクライミング、スケートボードのあるローラースポーツ、サーフィンは、その点が加味されて、IOCに提案されたようだ。なお追加競技・種目は、来年8月のリオデジャネイロ五輪前のIOC総会で正式に決まる。

 森喜朗会長は「短期間ですが精力的に議論してもらいました。きっとIOCにも理解して頂けると思っています」と語った。

 また御手洗座長は「日本におけるスポーツの関心の広がりを、世界に発信する絶好の機会と思っています。若者にアピールするもの、国民の機運の向上、選考のプロセスが透明なものであるものという3つを基本的なものとしてきました」と期待を寄せた。また、同座長は「日本を盛り上げるという意味では野球と空手。野球はほとんどの学校に野球部があり、各層に楽しまれている。全国大会も多く、国民的なスポーツ。動員力が最高にあるということ。空手は日本が発祥で世界に浸透していった。世界の多くで支持されている。日本発祥の伝統ある競技を世界に発信できるものです」と説明した。

 また漏れた競技については「残念ながら漏れたものの、各競技団体と密接に連絡を取り、これらの団体とともに出来ることがないかと積極的に検討していきたい」と話した。

 オブザーバーの高橋尚子さんは「どの競技団体も熱意が伝わってきた。若者のアピール、国民の機運なども感じられた。私はマラソンを始めた3年半で金メダルを取れました。東京まで5年あります。これから競技を始める人にとっても、メダルを取るチャンスは残されています」と笑顔を見せた。

 室伏広治スポーツディレクターは「新しい試みで、重圧もあったがバランスのいいパッケージ。5年後が楽しみです。スポーツクライミング、スケートボード、サーフィンを選んだことで、世界からサプライズはあったと思うが、共感は得られるし新しい風が吹くと思う。甲乙付けがたかったが、来年のIOC総会に向けて注目して行きたい」と期待を込めた。

 サーフィンについては、開催場所などの見通しについては御手洗座長は「開催は3日くらいの幅を持って考えている。人工造波装置は、莫大(ばくだい)な費用がかかるので、作らないことで同意している」と語った。

 野球は08年北京五輪を最後に外れているが、今回は推薦される。同座長は「野球はメジャーリーガーが参加しないなど、トップアスリートが参加しなかった。20年については、肝心のメジャーリーガーは来ることで口頭で約束している。国際競技団体(IF)とも、1チーム24人の6チームで同意している」と明かした。