日本男子フィギュアスケート界に、18年平昌五輪に向けた新星が誕生した。今季からシニアに本格参戦した宇野昌磨(しょうま、17=愛知・中京大中京高)が、14年ソチ五輪銀メダルのパトリック・チャン(カナダ)や、15年世界選手権王者ハビエル・フェルナンデス(スペイン)らに勝ち、1位となった。国際スケート連盟(ISU)非公認ではあるが、185・48点は男子フリーの世界歴代5位相当。ソチ五輪金メダルの羽生結弦(ANA)を追う若手が驚きの演技で会場を沸かせた。

 「185・48」。宇野は「これだけの点数をもらえるとは思わなかった。とても満足」とはにかんだ。ISU非公認だが、世界歴代5位に相当する。高校3年生が魅せる、豪快かつ優雅な演技で、大観衆を総立ちにさせた。

 終盤が真骨頂だった。4回転トーループとダブルトーループの連続ジャンプ。トップレベルでも難度の高い連続技を決めた。憧れてきた高橋大輔のような表現力には定評があったが、ジャンプの武器も加わった。関係者は「終盤のコンビネーションに4回転を入れて成功させたのは世界でも初めでじゃないか」。世界最高得点保持者のチャンも「クレージー。僕なんか4回転を1回跳べたら十分」と苦笑いした。

 隣には恩人がいた。浅田真央だ。幼少期に当時小6だった浅田に「スケートやろうよ」と声をかけられ競技を始めた縁がある。リンク脇で出迎えられ、照れながら抱擁を受けた。会見で「たくましい演技。お母さん気分になりました」とほめられると、再び顔を赤らめた。“フィギュアの母”に加え、送り迎えや食事管理などで支えてくれた両親の前でも恩返しとなった。

 今季はGPシリーズにも初挑戦。「今日はすごい良かったけれど80点。残り20点はジャンプ以外の面で成長する」。伸びしろ十分の17歳が世界への第1歩を大きく記した。【鎌田直秀】

 ◆宇野昌磨(うの・しょうま)1997年(平9)12月17日、名古屋市生まれ。伊藤みどりや浅田真央を育てた山田満知子コーチの門下生。14年全日本選手権で2位となり、同年ジュニアグランプリファイナルで優勝。今年2月の4大陸選手権ではフリー自己ベスト167・55点などをマークし5位、3月の世界ジュニア選手権優勝。得意は4回転トーループ。憧れの存在は高橋大輔。家族は両親と弟。158センチ。血液型B。