フィギュアスケートの元世界女王で、2季ぶりにシーズンを戦う浅田真央(25=中京大)が、ショートプログラム(SP)に連続3回転ジャンプを組み込む考えを明かした。4日、都内でのフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズの会見に出席。早ければ11月6日開幕の第3戦中国杯で、7季ぶりの連続技への挑戦を見据えた。1年の休養を経ての復帰戦となった3日のジャパン・オープンでは圧巻の演技。今後もさらなる進化を追い求める。

 壇上の浅田が冷や汗をかいていた。「ショートの曲目が…、なんだっけ…?」。GPシリーズでお披露目するSPの話題を振った松岡修造氏も、なぜか一緒に焦る。「す」と最初の1文字をヒントに出すと、顔を赤らめていた浅田が、「そうそう、『すてきなあなた』です!」。まさかの失念に会見場が笑いに包まれるなか、続けた言葉は正反対に、自信に満ちていた。「(構成は)いろいろなバージョンを考えてます」。

 「コンビネーションが3-2だったのを、3-3でできる構成も考えている」。2連続3回転ジャンプの解禁宣言だった。ジャンプの本数が少ないSPでは失敗のリスクが大きく、以前跳んでいたのは7季前、高校を卒業する08~09年シーズン。10年バンクーバー以降は佐藤コーチのもとでジャンプを作り直したため、フリーで再開したのも13年4大陸選手権からだった。

 種類は以前とは変える。前半のフリップは一緒だが、後半は従来のループをトーループにする。長野五輪で金メダリストのリピンスキーがループを跳ぶのをみて以降、後半はループを続けてきたが、切り替える。難易度が低いトーループから、まずは取り組む。

 「自分を極める!!」。今季の目標をそう記した。ジャパン・オープンで自己ベストに迫るカムバック劇をみせ、「いま考えていることは、1つ1つの技の質をよくしたり、もっともっと形を良くしたり、極めたいなと思います」。SPは14年世界選手権で出した世界歴代最高の78・66点を持つ。連続3回転を入れればさらなる高みも捉える。「(中国杯までに)間に合えば」と話す姿は、求道者然としていた。【阿部健吾】

 ◆ジャンプ ループは後ろ向きで右足で踏み切り、右足で着氷する。トーループとの違いは左足のつま先で氷を蹴ること。難易度は前者が高く、3回転の基礎点は5・1点と4・3点となる。3回転フリップとの連続にした場合は10・4点と9・6点となる。浅田は12年世界選手権以降のフリーで2連続3回転に挑戦してきたが、後半のループに回転不足が多かった。