【ウォリック(英国)5日=岡崎悠利】残された希望へ力を振り絞る。ラグビーW杯イングランド大会で8強を目指す日本代表は5日、軽めの調整を行った。第2戦でCTBサウが右膝、ロック大野が左太もも裏を痛めるなど、状況は万全でない。この日は首の大手術を乗り越えたフッカー堀江翔太(29=パナソニック)が取材に応じた。

 堀江は4日にウォリック市内の美容院で散髪した際、「次の試合も頑張って」と無料にしてもらったという。「コボちゃんみたいになって失敗したので、(通訳の)佐藤さんに調整してもらった」と笑って明かした。自力での8強進出はできない厳しい状況だが、「できることはアメリカ戦にベストで臨むこと」と視線はぶれない。「世界一のフィットネスを持っている。走り勝つ」と、最後まで“JAPAN WAY”を貫く覚悟を見せた。

 堀江は今年2月に首を手術した。度重なるスクラムの衝撃で首の骨が削れてとがり、神経を傷つけた。左手の握力が一時14キロまで落ち、自力で開けない状態まで悪化していた。約7時間に及ぶ手術と3日間止まらない吐き気に苦しんだあと、首にコルセットをつけてリハビリに取り組んだ。

 宮崎合宿では「100%の状態に戻ることはない」と覚悟を語っていた。7月に復帰も「だいぶよくなった」と話す左手は、スクラムでプロップのジャージーをつかめる程度の状態だ。それでもここまで3試合すべてに先発し、好調のラインアウト、スクラムの立役者となっている。ジョーンズHCはサモア戦の前に「100%の選手はわずか。乗り越えないといけない」と語った。FWリーダーの堀江が体を張り、傷ついた仲間を背中で引っ張る。

 ◆堀江翔太(ほりえ・しょうた)1986年(昭61)1月21日、大阪府生まれ。ポジションはフッカー。大阪・島本高、帝京大を経て現在パナソニックに所属。13年、14年シーズンと世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のレベルズ(オーストラリア)でプレー。大学まではフランカーで、FWながらランやパススキルも高い。180センチ、104キロ。